40歳の仕事

若い頃は仕事の上で
「僕しか知らないこと」や「僕しかできないこと」が
バリューになると思っていたけど、
40過ぎてくると変わってきて
「そんなのひとつも持ってない」
という方がいいのだなということがわかってきた。


もちろんフリーで働く場合のことではなくて
それなりに大きな組織の中で働く場合のこと。
自分のできることが他の人たち、
プロジェクトなのかチームなのか部門なのか
その後輩たちができるようになった方がいい。


僕のやっていたことを後輩たちに任せてみる。
手取り足取り教えることはしない。
しばらくやってるのをこちらで見せて、
後はそれぞれどう学んで形にするかはその人に任せる。
時々、要所要所でアウトプットをレビューする。
よくわからないところがあるので教えてくださいと言ってくるのでもいいし、
とことん一人で悩んだ資料を最後に持ってくるでもいい。
何もせずただただ期日を引き伸ばすようだとダメだし、
同じことを4回も5回も同じように聞いてくるのもダメ。
見よう見まねでどんどん自分で先に進めるようでないと何事もものにならない。


本当なら、それまでやってたことを後輩たちに渡したら
自分はまた新しいことを始めればいいんだろうけど
今のプロジェクトではそれはない。日々再生産。
とても楽だけど成長はない。そこに甘んじている。
一度入ってしまったら抜けられなくなってしまった。
今から10年前、土日も出て終電で帰っていた時期にどれだけ疲弊して磨耗したか。
あの頃は若かったからできた。今はさすがに無理だ。
新しいことを始めるというのはそこに直結しそうで、ついつい恐れてしまう。


今はそれでいいけど、3年後、5年後、10年後どうなっているか。
それはもっと恐ろしいことで考えるのをやめてしまう。
無為に日々をやり過ごす。
会社に提供できるものがなくなったとき、その人はその会社を去るべきなのだろう。
そろそろ本気で身の振り方を考えないといけない。
僕でないとできないことはも良くも悪くも、もはや何も残ってはいない。