女性シンガーソングライター概論

年明けのイベントで海外の女性シンガーソングライターについて話すことになったので、メモ。


「シンガーソングライター」はその名の通り、自ら曲を書いて歌う人のことを指す。
このとき、ひとり静かにアコースティックギターやピアノを弾き語りする、とは限らない。
世間一般的にイメージとしてもたれているような。
バックを男性で固めたロックバンドであるとか、グループの中で歌ってもいい。
ジャンルもオーガニックなフォークとは限らない。
ロックを初めとしてソウルやジャズであっても何でもかまわない。
「シンガーソングライター」という言葉自身が何らかのジャンルを表わすわけではない。


「シンガーソングライター」を扱うとなると
どれだけ歌が上手くて人気があってもここでは取り上げることのない歌手も多いわけで。
専属の作曲家・作詞家に書いてもらったり、既存の曲をカバーしたり。
70年代だとリンダ・ロンシュタットスージー・クアトロ
80年代だとホイットニー・ヒューストンやベリンダ・カーライル。
また、自分で曲を書くことはあってもアルバムでも1・2曲という人もいて、
例えばジャニス・ジョプリンマライア・キャリーはまた別の機会に、となる。


ジャンルで言えば60年代・70年代はやはりフォークであったり
トラディショナルな曲が多いんだけど
80年代以後はポップ、ロックが主流となり、90年代それがイッキに爆発する。
00年代以後はEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)方面も増えてくる。
身近な楽器がギターやピアノからコンピュータへと移り変わって。


今回は120分という時間の制約があるので60年代はカット。
1971年からスタート。
Joni Mitchell『Blue』
Carole KingTapestry
Laura Nyro『New York Tendaberry』
「女性シンガーソングライター」を代表するこの3枚が発表された、いきなりピークの年。
以後、80年代・90年代・00年代の「女性シンガーソングライター」たちはその娘と言える。
Carly Simon『No Secrets』や Roberta Flack『Killing Me Softly』も紹介したい。
Karla Bonoff や Bonnie Raitt や Jackie DeShannon までは行きつかないか。


80年代は(やはり時間の都合もあり)Suzanne Vega『Solitude Standing』だけか。
80年代はなんといっても MTV の存在が大きい。
それまでステージ、 レコードとそれをかけるラジオ番組、
テレビ番組の出演だったところにビデオクリップが登場する。
(もちろんその以前からビデオクリップそのものはあったが)
つくりこんだヴィジュアルイメージとメディアの転換が音楽の産業化を進める。
それが先ほどの90年代の爆発につながってくる。
男性ミュージシャンたちによる
スタジアム系ロックの飽和とオルタナティブ系ロックの突破は
「女性シンガーソングライター」の領域でも同様のことが起きた。


(続く)