おにぎりの話

昨日の弁当にするために一昨日の夜、初めておにぎりをつくってみた。
簡単なようでいて、なかなか難しい。
ラップで包んで三角形にしたつもりでも、いつのまにか形が不揃いに戻ってしまう。
おむすびとも言うだけあって、固く結ばないといけないようだ。
結局3個のうち、2個は妻につくってもらった。


おにぎりで思い出すことがある。
10年以上前になるか。
「天国に一番近い夫婦」がテレビで紹介されていた。
ふたりは世界最難関の高峰ばかり登っていた。
厳しい自然環境の中を登っていく。当然事故も多い。
凍傷で指を失う。それが何回か続いて、
奥さんの方は最後、全ての指を失った。
そのときに言っていたことが


「これでもうおにぎりを握ってあげることができなくなった」


笑顔で。
やれるだけのことはやって悔い無し。
残念なのは次に山を登るときにはおにぎりが握れない、ということ。


おにぎりにはそれだけの力がある。
ふたりは今もなんとか工夫して山を登っているんじゃないかと思う。


青森には「森のイスキア」がある。
地球交響曲』で取り上げられているのを観た母から
佐藤初女さんのつくるおにぎりの話を昔聞いたことがある。


初めておにぎりをつくる。
見よう見まねでなんとなくわかるし、レシピを見るまでのことでもないが、
どんなことが書いてあるんだろうと検索してみる。
「おにぎり 簡単」と入れると、予想に反して
キャラ弁的な凝りまくったおにぎりを「簡単」につくるレシピばかり上位に出てきた。
それを「つくりたい」のではなく、
「つくってあげないといけない」母親がいかに多いか、ということ。


一方でレシピをアップしている方はとても楽しそうだ。


おにぎりってシンプルであるほどおいしいと思う。
山に登っていて、大変な思いをして頂上に辿りついたときに食べたいのは
そういうもののはずだ。