女性シンガーソングライター概論その6


facebook の方にイベントを立ち上げ、今回
時間の関係で最終候補から泣く泣く落としたものを
1回に2組ずつ紹介しています。
そのいくつかをここで。
https://www.facebook.com/events/1719084804991234/


◆まずは、ジョーン・オズボーン。
 この「One Of Us」は80年代に人気となったバンド、
 ザ・フーターズのメンバーが作曲とプロデュース。
「もし神様が私たちと変わらない存在だったら?」
 というスキャンダラスな歌詞が物議を醸しましたが、
 プリンスなど多くのミュージシャンによってカバーされました。
 1995年のグラミー賞の新人賞や最優秀賞アルバム賞など計8部門でノミネートされるも、
 この年は超強力な対抗馬アラニス・モリセットに完敗。
 その後「One Of Us」のような売れる曲を望む
 レコード会社との間で折り合いがつかなくなるなど不遇の時代を過ごすも、今も活動中。


 Joan Osborne - One Of Us (OFFICIAL VIDEO)
 https://youtu.be/nPFnHdJ0dl0


 アラニス・モリセット『Jagged Little Pill』は全世界で3,000万枚を売って、
 確か地球上で最も売れたアルバムのベスト10に入っていたように思う。
 1990年代前半のグランジ・ムーヴメントに対する女性からの返答であり、
 キラキラした新しい世代の登場として当時とても鮮烈なイメージがあった。
 ニルヴァーナNevermind』に並ぶ90年代屈指の名盤。


 Alanis Morissette - You Learn (OFFICIAL VIDEO)
 https://www.youtube.com/watch?v=GFW-WfuX2Dk


サラ・マクラクラン、k.d.ラング、アラニス・モリセットなど、
 カナダ出身のシンガーソングライターは
 ジョニ・ミッチェルをルーツとして本質を突いた人たちという印象があります。
 逆に言うと隣国アメリカのマーケットが大きすぎてそこそこのレベルでもデビューできるのに対し、
 カナダからワールドワイドな成功をするとなると相当な実力が必要とされるということなんですよね。
 変わったところではアヴリル・ラヴィーンもカナダでした。
 このケイト&アンナ・マクギャリルはいわゆる
 ミュージシャンズミュージシャンというか、玄人筋からの評価が高い。
 妹の方、ケイト・マクギャリルの息子がルーファス・ウェンライト、娘がマーサ・ウェンライト。
 この曲は本人たちの発表こそ1975年のデビューアルバムであるが、
 デモテープは以前からミュージシャンの間に出回っていて、
 1974年にリンダ・ロンシュタットがカバー。アルバムの表題曲に選んでいる。


 Kate & Anna McGarrigle - Heart Like A Wheel
 https://www.youtube.com/watch?v=1y6ssHz4rWQ


 ケベックなどカナダの東側出身のミュージシャンの特徴としてフランス語と英語、両方で歌う人がいます。
 このジュリー・ドワロンもアルバムごとにフランス語で歌ったり、英語で歌ったり。
 ギターを爪弾きながら囁くように歌う。極端な音の少なさが、カナダの冬を思わせる。


 Julie Doiron - snow falls in november
 https://www.youtube.com/watch?v=zBExgM0NpM4



◆00年代後半から「フリー・フォーク」と呼ばれるジャンルが密かに人気を呼びます。
 90年代だと「アシッド・フォーク」でしょうか。
 フォークは元々社会問題を訴えたり、人を励ましたりと前向きなものですが、
 こちらはダウナーな気分のときにもっとダウナーにさせるというか、
 精神のダークサイドをさまよい歩くというか。
 サイケデリックで、非ポップな音。
 代表格として Animal Collective や jackie O Motherfucker など。
 ジョセフィン・フォスターもその一人。
 アメリカのアンダーグラウンド音楽の轟々と流れる地下水脈を一身に体現する。
 2013年の来日公演ではゲストに灰野敬二
 この曲の収録された『Blood Rushing』と
 ガルシア・ロルカの採取したスペイン民謡集のカバー『Anda Jaleo』がおすすめ。


 Panorama Wide - Josephine Foster
 https://www.youtube.com/watch?v=4FszgsOhjB0


 フリー・フォークでは Espers というグループが繊細かつ孤高の音で素晴らしい。
 そのヴォーカルがメグ・ベアード。
 先日紹介したヴァシュティ・バニヤンやアン・ブリッグスの後継者として、
 21世紀とは思えない純度100%の清冽なフォークを演奏する。
 このクリップは元 Galaxy 500 のナオミ・ヤンが監督している。


 Meg Baird "Don't Weigh Down the Light" (Official Video)
 https://www.youtube.com/watch?v=3KL88DC9WwI