女性シンガーソングライター概論その7

イベント、いよいよ今日です。
入場者プレゼントのCD-Rも焼き終わり、配布資料も昨日(こっそり職場で)コピー済み。
bluetooth のスピーカーが充電だけで2時間持つかも試す。
昨晩は帰ってきてから話すことのメモを書いた。
これまでの繰り返しになってしまうので恐縮ですが…

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シンガーソングライターとは自ら曲を書き歌う人。
いわゆる「自作自演」(そう言っちゃうと最近はなにやらイメージがよくないですが)
ジャンルは問わない。
フォーク、ロック、ソウル、最近だとエレクトロニカ
シンガーソングライターというジャンルがあるわけではない。
「聞いてみたい」というニーズはあるけれども、
誰が、どのミュージシャンがシンガーソングライターなのかは詳しい人はよく知っているけれども
これから、という方は一人ずつ覚えていかないといけない。
見た目や声、歌い方だけではその人がシンガーソングライターかどうかわからないですからね。
ギターやピアノを弾いて歌っていても自分では曲を作らないというミュージシャンは大勢います。


ジャンルで分けていくならば、やはりフォークから始まる。
歌の前にメッセージがある。
それを広く伝えるための手段としての歌、そして伴奏。
一通り楽器をそろえて大所帯のメンバーを集めているとメッセージの瞬発力が損なわれるから
一人でギターを抱えて歌った方が手っ取り早い。
それは今も変わらない。社会的なメッセージを歌うシンガーソングライターは今も多い。
しかしそれと同じぐらい、恋愛とかパーソナルなことについて歌う人も多い。


どれだけ歌がうまくても、人気があっても、自分で曲を書かないから
今回ここでは取り上げることのできない人は大勢いるわけで。
70年代だとリンダ・ロンシュタットスージー・クアトロ
80年代だとホイットニー・ヒューストン、ベリンダ・カーライル。
自分で曲は書くけどアルバムでは1・2曲という人も取り上げにくいですね。
ジャニス・ジョプリンマライア・キャリーなど。


今回はそのフォークの時代、50年代や60年代を(時間の都合もあるので)割愛して、
1970年代、1971年からスタートします。
なんでこの年かというと女性シンガーソングライターのピークというか
黄金時代がここなんですね。いきなりなんですが。
Joni Mitchell『Blue』
Carole KingTapestry
Laura Nyro『Newyork Tendaberry』この3枚。
この年はロックにおいてもピークなんだと思います。
フォークがロックへというのはボブ・ディランに代表されるように時代の流れだったわけですが、
それは女性シンガーソングライターにとっても同様。
1968年1969年の革命の季節を経て、ロックは一気に大人になってしまった。
一番キラキラしていて、無条件の可能性が残されていた最後の時代。
1971年のロックのアルバムを集めてみると、
Derek & The Dominoes 『Layla & Other Assorted Love Songs』
Janis Joplin『Pearl』
The Rolling Stones『Sticky Fingers』
T.Rex『Electric Warrior』
Led Zeppelin『Four Symbols』


1971年が成熟ならば、1972年は円熟。たった一年で。
Carly Simon『No Secrets』がその代表。
当時の人気は上記の3人よりも上だったんじゃないか。
気楽に手伝いに来た参加ミュージシャンも豪華というのによく表れている。
1972年のアルバムは…
先日亡くなった David Bowieの代表作『Ziggy Stardust』
The Rolling Stonesは『Exile on Main St.』へ。
T.Rexも『The Slider』へ。その他
Deep Purple『Live in Japan』
Jimmy Cliff『The Harder They Come』など。


この後、フォークから始まったシンガーソングライターは
AOR(アダルト・オリエント・ロック)路線としてさらに熟していくか、
パンク、ニューウェーブなどロックの新しい方向に寄り添っていくか。
パンクはロックという音楽でさえ、可能性がないことを示した。
あとは産業化して自らを切り売りしていくよりない。
MTVの時代。いかに見せるか、売るかが大事。
なので、80年代のミュージシャンを取り上げると大御所ばかり。
マドンナ、シンディ・ローパーEverything but the Girl に Eurythmics など。
今回のラインナップからすると浮いてしまう…


ロックと共に多様性を模索、獲得してきた女性シンガーソングライターたちは
時代の音に敏感だった。
1977年のパンクも実は一握りの若者のためであって、リスナーの方が圧倒的に多かった。
まだまだ向こう側の音楽だった。アンダーグラウンドに向かうか産業化するかの二極に別れていた。
しかし1991年、ニルヴァーナに代表されるムーヴメントがロックの裾野を広げます。
楽器の入手も以前よりは容易になったんじゃないか。
表現手段としてのロックが最も身近になったのが1990年代、オルタナティブの時代。
スターのオルタナティブとしての自分たち。
(もちろん、ニルヴァーナたちの成功によってマーケットが広がったというのもある)


それは00年代以後、EDM(Electoronic Dance Music)に向かうのかもしれない。
ギターを抱えて歌うよりも、自宅の部屋のPCで曲を書いてネットにアップするという時代。
SNSに書き込むような感覚で。
もはやロックはかつてのようには売れなくなったということもあり。