「お多幸」

おいしいものを食べたい、おいしいおでんを食べたいということで
会社の後輩たちと「お多幸」に行く。
冬のこの時期で金曜、どこもいっぱいでかろうじて取れたのは銀座8丁目。
予約は19時。既にこの界隈は夜の男たち女たちがあちこちに。
店に着くと、ふらり訪れて空きがないか期待していた客が断られていた。
僕らは3階へ。取ってくれた後輩曰く、予約は3階の個室のみなのだという。
コースというか、事前におでんが人数分セットされている。
あとはお通しのみ。白子ポン酢だった。


卓上コンロの上に四角いおでんの鍋。それが縦横4つに区切られている。
東京風で真っ黒なタレ。ズブズブと沁み込んで豆腐も大根も茶色。
火をつけて温めるとはんぺんがどんどん膨らんで、白かったのがやはり染まっていった。
普段なら〆となる名物の「とうめし」を先に出してもらう。
これ自体はお品書きにはなく、公然とした裏メニューのようなもの。
茶飯を頼んで、おでんの豆腐とタレを上に乗せて食べる。
おでんはおでんで食べたかったので、僕らは豆腐を別に注文した。
きりっと醤油の味がして、どこかほんのりと甘いタレで煮込まれた分厚い豆腐。
箸でサクサクッと切り分けてごはんとかき込む。
あー日本人でよかった。熱燗も進む。


おでんの具はオーソドックスに大根、厚揚げ、はんぺん、玉子、コンニャク、
ゴボウ巻、イカ巻、昆布巻き 、竹輪、ちくわぶ、じゃがいも、いわしつみれ、
がんもどき、白滝、魚のスジなど。
牛すじやふくろ、玉子巻なんかもあったけど
最初のセットと追加で頼んだ刺身を食べているうちにおなかがいっぱいになった。


本当は妻も来るはずが、仕事が終わらず断念。
おみやげのおでんを買って帰る。
真っ赤な赤い缶に入って、おまかせで2,000円。
電車の中で抱えながら乗っているとほんのりと温かかった。