コロッケ丼というもの

妻が先日、駅の本屋で平積みになっていたのを買ったのが面白かったというので
吉本隆明・ハルノ宵子『開店休業』を読んでみた。
吉本隆明が『dancyu』の連載で食について書いた短いエッセイのひとつひとつに
その最期を看取った娘ハルノ宵子による書き下ろしの文章を添えたもの。
下町での思い出が多く、その中にコロッケについて書かれたものが出てくる。
読んでると僕も揚げ立てが食べたくなった。
そのことを話すと月曜の夜、妻がコロッケをつくってくれた。
じゃがいも、玉ねぎ、挽肉のシンプルなもの。
やはりそれが一番おいしい。


そういや、世の中にはカツ丼だけではなく、
時にはエビフライ丼や唐揚丼といった
揚げ物を玉子で閉じた丼ものがあるけど
コロッケ丼って聞かないよな。
食べながらそんなことを話す。


調べてみると cookpad にはたくさん出てくる。
独身時代、給料日前につくった男性のブログなんかも。
だけど不思議なことに、店のメニューとしてはなかなか見当たらない。
あったとしてもご飯の上にコロッケと千切りのキャベツを乗せて
ソースをかけただけのものだったり。
おいしくないのだろうか。
それ以前にイメージがよくないのだろうか。


つくるならばスーパーの惣菜コーナーで買った
3個100円の安いのがいいかもしれない。
既に冷めてしまっているもの。
それを電子レンジで温め直し、タレを温めた小鍋にくぐらせる。
わざわざそのためにコロッケを揚げるのはもったいない。
だったらソースをかけてそのまま食べる方が断然いい。


カツ丼やエビフライ丼が成り立つのは
ヒレ・ロースやエビという
それなりの噛み応えのあるものを食材に使っているからだと思う。
それが玉子に合う。
コロッケだと微妙で、メンチカツはグレーかな。
「かつや」では先月から期間限定で
「デミグラスメンチカツ丼」と「デミたまメンチカツ鍋定食」を提供とのこと。
まだあるかな。