空白の時期

昨晩思い立って写真の整理をした。
まとまってなくてあちこちの紙袋や引き出しの中に
封筒や写真屋のくれる簡易版のアルバムや
プリントアウトしたままのプラスチックの小袋に入っていた。
無印良品の300枚入るアルバムを買ってきて、
でたらめな順番になっていたのを一枚一枚並べ替えて移していった。


高校生までのは実家にある。
手元にあったのは大学生になってから。
上京したばかりの18歳・19歳の頃のはたくさんあった。
最初のクラスの皆と。学生寮の同期・先輩たちとの飲み会や旅行。
親戚の叔父さんを訪れたとき。1994年の19歳、モスクワ短期留学。
1年生の前半に所属していた社交ダンス部の合宿。


それが1995年、20歳、3年生になったときからプツッと写真がなくなる。
その後何年もなくて、親戚や先輩の結婚式のがいくつか出てきたぐらい。
例外として30歳を過ぎた辺り、高校の友人たちと行ったオハイオ旅行のがあった。
でもこれも飲み会で同じ高校の友人に見せようとしたからか。


デジカメになってプリントアウトすることがほとんどなくなった。
撮ったその場で見ることができるし、
PCに取り込んで画像データとして閲覧することもできる。
携帯にカメラが搭載されて、さらに拍車がかかった。
だけどそれって90年代半ばからだっただろうか?
いや、そんなには早くない。
だとしたらこの空白の数年間はなんなのだろう?
20歳になって、それが大人になるということ?
それとも1990年半ばのバブル崩壊が関係してる? そういう時代?


単純にカメラを持ち歩いて常日頃写真を撮るという人がいなかった。
撮るに値するイベントがなかったということでもあると思う。
映画サークルで映画を撮っていた頃は隣が美術部でよく現場を撮影していた人がいた。
映画サークル内でもカメラが好きであれこれ撮っていた人がいた。
でもそれも作品を撮るというニュアンスが強く、
スナップ写真を撮って焼き増ししてくれるというものではなかった。
たまにうまく撮れたのが引き伸ばされて壁に貼られたのを見るぐらい。


人生のある時期に差し掛かると、特に男性は
写真をもらってアルバムに整理するというのが野暮ったかったのかもしれない。
ただ単に無頓着だったのかもしれない。
もらった写真の多くをなくしてしまって、そのことを忘れているのかもしれない。


みんなどうなのだろう?
僕だけが特殊なケースなのか。
小さい頃、両親や親戚は写真をよく撮ってくれるし、
中学高校でも先生たちが何かあるごとに撮ってくれる。
単身上京するとそういう環境じゃなくなる。
ただそれだけのことか。
いや、それだけのことではないように思う。