Damien Rice 来日公演

昨晩は Damien Rice の初来日公演へ。
六本木の「EX THEATER」
2007年のフジロックに来るはずが、直前でキャンセルしてるんですよね。


1stアルバム『O』は生涯No.3に入るほど愛聴していて
人生の節目伏目に何度か贈り物にもしてきたというのに
今回の来日のこと、ノーチェックで完全に見逃す。
というか反捕鯨の立場ゆえに日本には絶対来ないと聞いていたので
「いつか来たら見てみよう」とすら思っていなかった。
それが先週、仕事のメールを遡って見ていたら
これまでにも Bjork, Aimee Mann, Mama! Milk などを誘ってもらった
会社のSさんから Damien Rice 余ってますよと。
ゴールデンウィーク明けに連絡あって、気がついたのが公演の5日前。
いやー、ついてるというか何というか。


指定席だったので開場前に並ぶ必要はなかったんだけど
他にいるべき場所もなかったので先頭の方に並んでいたら
がらーんとした客席に一番乗り。
ドリンクチケットをジンバックに引き換えてステージの上を眺めながら飲む。
真ん中はマイクスタンドとギターが何本か。
向かって右にハーモニウムを乗せた台。
奥にドラムセット? バスドラとシンバルだけ。
左になぜか古びたバーの片隅のような小さなテーブルの上にワインの瓶と椅子がふたつ。
客層は30代・40代か。外国人が多い。
開場が20分遅れで、開演も20分遅れた。


登場したのは Damien Rice だけ。
1st や 2nd ではバックコーラスで Lisa Hannigan が歌っていたので
破局して久しく)代わりに誰か出てくるのかと思いきやそんなこともなく。
上記の楽器も Damien Rice が演奏した。完全にひとり。
その分エフェクターとループマシンで
ギターをノイジーなまでに厚く大きくしていく。
張り上げる声も縦横無尽に重なる。
弦を爪弾いて呟くように静かに始まったのが、いつのまにか音の大伽藍へ。
鬼気迫る。ギターと声/喉だけでここまでできるものなのか。


曲によってはそういうギミック無しにしんみりと弾き語った。
シリアス一辺倒ではなく、曲間のMCでは「東京に来れて嬉しい」に始まって
英語のわかる人たちの間では失笑や爆笑の連発。
外国の方たちは客席から遠くの Damien に向かってどんどんツッコミを入れていた。


1stからは「Delicate」「Volcano」「Cannonball」「Cold water」「Eskimo」など。
リクエストを受け付けて 2nd の「Elephant」を披露し、
最新作となる 3rd「My Favourite Faded Fantasy」からは表題曲も。
即興の曲もいくつかあったはず。
ループを多用して作り上げた曲がそうなんじゃないか。
そもそもアルバムに入ってるアレンジの通りに再現するなんてことはなく
シンプルな弾き語りの曲以外はほとんどがガラッと変わってしまっている。


後半、向かって左のバーの片隅コーナーに女性の観客
(外国の方だったから仕込み?)
が上ってきて、Damien がグラスにワインを注いで乾杯。
4杯ぐらい立て続けにふたりで一気に飲み干した。
その後の Damien はステージに観客を上げられるだけ上げて歌わせ、
(皆よく曲を知っている)
アンコールへ。
2nd から「Rootless Tree」そして誰もが期待していた
1st「The Blower's Daughter」で締めた。


いやーすごいもの見たなあ、と興奮したまま外に出たら人だかりが。
ギターを抱えた Damien Rice を取り囲んでいて、
収拾がつかなくなって上の階の広場へ。
非公式な2回目のアンコール。
1st「Amie」と3rd「I Don't Want To Change You」
フジロックPatti Smith がその辺の道端でギターを手に歌ってたと聞いたことがある。
忌野清志郎が真夜中に広場の隅のほうでセッションをしていたのを見たことがある。
普通のコンサートでそこまでしてくれたのは初めて。
もっと歌いたい Damien ともっと聞きたい僕らと。
幸福な瞬間だった。伝説の一夜として語り継がれるであろう。


終わったのが22時半過ぎ。
「EX THEATER」のチケットの半券を提示すれば
ビール一杯無料という店があったのでそこに入る。
お互い、奇妙礼太郎がいいという話になる。
水曜日のカンパネラを薦められる。
先日の New Order は Gillian Gilbert が復活していたとのこと。