未来の東京

オフィスが14階東側から18階西側へ。
窓辺のミーティングスペースでの打ち合わせの前後に
なんとはなしに目の前に広がる東京を眺める。
今は梅雨の時期だから、傘を差している人がいるかどうか頻繁に確認している。


地平線の彼方まで建物がぎっしり覆っているというのは改めてすごいことだ。
空気がきれいではないからか、かすんでいて端の方がぼやけている。
東京の人口がざっと1,000万人だとして、
神奈川や埼玉や千葉を足して2,000万になるとして、
それだけの人々を住まわせるとしたらこれだけの地表が必要となるのか。
そのほとんどが2階建ての家屋だ。


ところどころビル群となり、
あるいは高層マンションが一棟だけニョキッと伸びている。
地底の方で耐えきれなくなったマグマが次から次に噴出し、
それがそのまま固まったかのような印象を受ける。
東京も上海のように高層ビルが増えていくのか。
日本の総人口は年々減少していると聞くが、
都市部は別でまだあと何十年か、高層ビル化が進んでいくのだろう。
人の住む地域、住まない地域、人口密度の格差がどんどん広がっていく。


その頃には人は傘で空を飛んでるんじゃないかと最近考える。
何かしら浮力を得てふんわり上昇したり、下降したり。
のんびりと前後左右に飛んでいったり。
人類が空を飛ぶ能力を身につけるとしたら
それは翼ではなくて絶対開いた傘だと思う。
回転してヘリコプターのようになるのか、
あるいは他の手段で風の流れに乗るのか。
晴れた日に地面を歩いている人たちを見たところで何かを思うことはないが、
雨の日の傘の群れを見ているとなんで空が飛べないのだろう、なんてことを考える。
高い場所からだと、どれかひとつぐらいふわりと浮かび上がってもいいのにと。


そんな人たちが何万人と赤に青に黄色に白と
派手な色の傘を手に目の前の空を行き交っている。
高層ビルやマンションの間をくぐり抜ける。
屋上で一休みする。
恋人たちや友人たちがふたり並んで相合傘で空を飛ぶ。
ぶつかって墜落することのないように、
その免許を取得するのはかなり難しいことになるだろう。


そんな未来が案外すぐ来るんじゃないか。