砂の城

真夏の子どもたちが砂の城に住みついている
今日もまた一段と大きくなって真昼の月に届きそうだ
皆同じ顔をしてる 笑ってる
子どもたちはそれぞれに月を捕まえて踊った
その日から夜を照らすものはなくなった


ある朝砂の城はこの世界を覆いつくした
最後の大人たちが姿を消した
太陽がそのてっぺんに上りつつある
乾いていく? いや、そんな暇はない
城の中にはまだ探検していない部屋がある


城の中で最も小さい部屋は指の先よりも小さかった
白の中で最も大きい部屋はこの星よりも大きかった
子どもたちは笑いながら浜辺で砂の城を作っている
これまでのは波にかき消されて
もうひとつ別なのをつくろうとしている