選曲イベント4回目がいよいよ来週の金曜。
紹介ページもアップされました。
http://terrainvague2015.blogspot.jp/2016/08/terrain-vague-vol39.html
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選曲もだいたい固まってきたので
今回もまた、候補に上がりつつも惜しくも外れた曲を紹介。
最初に、ですが。
今回の方針として
レゲエとタンゴは広く中南米の音楽にあてはまりますが、対象外にしようと。
それだけで今回のイベント一回分語れるぐらいの濃ゆいジャンルなので。
(実際、冬のホットビールの回というアイデアがあったので
そのときはタンゴだけでやりたいと考えている)
タンゴと言えば、何といってもアストル・ピアソラ。
レゲエだったらボブ・マーリーというのと同じぐらい、この人をまずは押さえておけ、ですね。
現代音楽をヨーロッパで学んだという素養もあり、
タンゴという大衆音楽を芸術の域に高めた第一人者と言っていいと思います。
関係したアルバムはたくさんありますが、
個人的には代表作は『ニューヨークのアストル・ピアソラ』なのだと思います。
官能性と緊迫感がこの密度で同居する音楽はなかなかないです。
Astor Piazzolla - Tango Diablo - Philarmonic Hall de New York
https://www.youtube.com/watch?v=Vj_6arGVXcU
そのピアソラには同じアルゼンチンの詩人ということでボルヘスの詩に曲をつけたのがあります。
『El Tango』というアルバム。
朗読のバックで演奏、という感じですが。
最初はオーソドックスなタンゴの形式で始まりつつ、ボルヘスの詩が始まると引きずられて?
どんどん前衛的になっていくのが聞きどころです。
Edmundo Rivero - Astor Piazzolla y Luis Medina Castro con letra de Jorge Luis Borges - El Tango
https://www.youtube.com/watch?v=nGq3tmZIjOU
晩年のピアソラをニューヨークに招いて80年代後半、三部作を録音したのがキップ・ハンラハン。
1986年の『Tango Zero Hour』はピアソラ自身も最高傑作と認めました。
キップ・ハンラハンはプエルトリコの音楽に強く影響を受けた作曲家・プロデューサーで、
American Clave というレーベルを運営して
真夜中のニューヨークのなまめかしさとでも言うような
独特な解釈によるラテン音楽の秀作をいくつも残しています。
この曲は南米っぽさはあまりないですが、
フランスの作家マルグリット・デュラスが監督した映画『インディア・ソング』の劇中歌のカバーです。
Kip Hanrahan - India song
https://www.youtube.com/watch?v=WtCvG_rjjtQ
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中南米にルーツを持つ音楽というと僕はブラジルのサンバやボサノバよりも、
キューバやプエルトリコで生まれてニューヨークで育ったサルサの方が好きです。
今回もサルサをちょっとだけかけようと思ってます。
となると、先日も書きましたが Fania All Stars は絶対はずせず。
「Fania Records」というレーベルの、
その名の通り腕利きのミュージシャンたちが集まって迫力ある演奏を繰り広げる。
生音でこれ以上のダンスミュージックはないんじゃないかと思います。
エディ・パルミエリ、ティト・プエンテらと並んで重鎮の一人が
トロンボーン奏者からスタートしたウィリー・コロン、若かりし頃の名盤が『El Maro』
ジャケットのふてぶてしい面構えがたまりません。
「悪ガキ」という意味です。
90年代にはこの名前を借りたロックバンドもいましたね。
WILLIE COLON JAZZY
https://www.youtube.com/watch?v=u7t549vH42U
ダンスミュージックとしてのサルサを90年代後半、大胆に再構築したのが
プロデューサーチーム「Masters At Work」による『Nuyorican Soul』
新旧入り乱れての共演ですが、中にはティト・プエンテやロイ・エアーズの名前が。
代表曲「Runaway」が当時あちこちでかかってました。
Nuyorican Soul - Runaway
https://www.youtube.com/watch?v=AVHW1LCE6vI