入院 11日目

『じみへん』を2/3ぐらいまで読んで寝る。
ジュリアン・コープ『ジャップロック・サンプラー』を読んで
一番聞いてきたくなったのがスピード、グルー&シンキだったからか
なんかの町のお祭りの特典でライヴ音源をもらうという夢を見ていた。
その間少なくとも2回は眠りが浅くなって目を覚ましたと思う。
しかしずっと継続してその続きという堂々巡りの2週目や3週目を見ていた。


5時半起き。体重が少し減っている。
体温も平熱。昨晩の熱も下がった。
計ってもらった血圧も110台。
採血検査、2本。
寝ている間は点滴をしていないので朝起きた直後は動きやすい。
朝早いうちに点滴がつながれる。


ナースステーションの向かいに小さなロビーがあって、
朝は老人会のようになっているて元気に話している。
点滴や各種管を身体に刺しつつ。
入院に至った経緯だとか術後の経過だとか。
病室の中で気が合うとかそういうのだろうか。
こちらの病室では誰も話さない。
一昨日の朝か、5時に目を覚ましてトイレに行ったら
洗面所で髭を剃りながら大声で入院談義。
さすがに看護婦の方に周りがまだ眠ってるから控えるようにと言われていた。
昨年の病棟のロビーは広くてテーブルもたくさんわかれていたけど、
こちらはテーブルが中央に大きく1つだけなので僕のような若輩者は利用できない。
まあ、利用する局面もないけど。


朝食は目玉焼き、ホウレンソウのソテー、味噌汁、オレンジ、ヨーグルト。
ご飯の上に目玉焼きを乗せて半熟の黄身をかけて食べていたら回診の先生たち。
なんかちょっと恥ずかしい。


午前中はスチャダラパーによる余談シリーズの雑誌『三代目J余談ブラザーズ』
加山雄三とも対談してるんだけど、五味太郎との対談が必読。
こんなパンクな人だったのか。もっと温和な好々爺を想像していた。
スチャダラパー五味太郎桑沢デザイン研究所出身。
こんな感じのことを言っていた。
「僕が絵本を書くのは子どもたちのためじゃなくて、絵本好きのためだ」
「おもちゃのマーチというクラシックが素晴らしいのは、
 子ども向けに書かれたのではなく、あの手の音楽が好きな人向けに書かれたからだ」


昼、サラダ、スパゲティミートソース。
午後、シャワー。
『余談』を読み終わる。都築響一とも対談している。
血液検査の結果がなかなか出てこないで、ソワソワする。
何度もトイレに入る。
良かったから後回しなのか、前回から特に大きな変化がないから後回しなのか。
妻は今日も風邪が治らず、会社を休み、見舞いも来れない。


以前編集にかかわった本が出るという連絡をもらった。


夕食前の回診。主治医含む男性医師が4人突然現れて
「木曜に採血とCTスキャン。そこで結果がよければ、退院が視野に入ってくる」
は、はあと聞いて終わり。メッセージを伝えるとすぐ去っていく。
採血の結果がよかったからこうなったのか、おもわしくなかったからこうなったのか、よくわからず。
聞きそびれたというか、聞く隙を与えなかった。
なんにしても採血一発OKで退院と推測していた僕はかなりなおっちょこちょいだった。
その後看護婦の方に聞くと明日で点滴がなくなるという。
とすると採血の結果としては悪くはなかったはず。
ちなみに今日は期初で医療班の編成替えもあって先生方はかなり忙しかったという。


夕食。豚肉と赤ピーマンの炒め物。ごはんに乗せて食べる。
さつま揚げとコンニャクの炒め煮。ツナともやしの和え物。
号外が iPhone に届いて、日本人がノーベル医学生理学賞を受賞。
オリンピックの余韻がまだ続いているかのようだ。


退院がまだ先になった件を後輩に伝える。
ついでに1階のローソンに届いた HMV の箱を受け取ってもらうよう頼む。


一日寝ていたらだいぶ調子がよくなったと妻が車で着替えとタオルを持ってきてくれる。
あわせて本を何冊か。二ノ宮知子『GREEN』4冊と隆慶一郎吉原御免状
(例のアレを受講した人たちは終わって皆これを読むそうだ。僕の期のあとから)
19時の面会時間を過ぎているし、風邪をひいてマスクをしているしで1階に下りていく。
この前の「世界ふしぎ発見!」のコマ事件について話すと、放送事故だと大笑いしてくれた。
本当は5日、退院後に行くつもりだったバレエの公演を一人で見に行くか、
友だちを誘って見に行ってもらうよう頼む。
外は風が出ている。雨もぱらついている。


戻ってきて『じみへん』の続き。
相変わらず夕方から夜にかけて熱が上がるが、昨日ほどではないか。