退院 3日目

5時半に目覚ましが鳴るが、起きられず。
6時過ぎに起き上がる。
プラスチックごみや古新聞をゴミ捨て場に持っていく。
コーヒーを沸かし、みかんを食べ、ひとかけら残っていたリンゴを剥く。
曇り空で雨が降りそうだったが、洗濯物を干す。
肌寒い一日で昨日と違って陽は差さない。
『異族』をようやく読み終える。


引き続きストーンズのライヴDVDを観る。
同じく「From the Vault」シリーズの『Live in Leeds 1982』
Amazon のユーザーレビューだと
顔ばかり映して楽器が見えないと不評だけど、そんなに悪くはなかった。
全般的にいい演奏だと思う。
「Under My Thumb」から始まって、
「Shuttered」「Black Limousine」「Beast of Burden」「Little T&A」など。
若干地味目な選曲が案外しっくりくる。
ルーズな「無情な世界」が、ああ、これもありだなと。


1982年のヨーロッパツアーの最終日。
それはつまり、ミックとキースの不仲説により
1989年の『Steel Wheels』までツアー活動が停止するその最終日という意味もあるし、
「6番目のメンバー」イアン・スチュアートがストーンで演奏した最終日でもある。
寺田正典氏の解説もイアン・スチュアートについて多くを割いている。
氏の言うように、「Let Me Go」で新人:チャック・リヴェールと
イアン・スチュアートが一台のピアノを連弾で弾くのはストーンズ史上屈指の名場面だと思う。
イアンはチャックにストーンズ流のブギウギピアノの何たるかを教えているかのようで。


この頃のメンバーは40前後。まだまだ若い。
ロン・ウッドキース・リチャーズも咥え煙草でギターを弾く。
ミック・ジャガーはアメフトの選手のような恰好をして(つまり下はタイツのような)
後半は上半身裸となってガリガリの真っ白い胸をさらしてクネクネと歌う。
ストーンズが「現役」だった最後の黄金期だな。
この後、『Steel Wheels』で50代に手が届き、全てがビッグビジネスとなる。


昼、昨晩のカレーを食べる。
昨晩半分読んだ『Live at the Tokyo Dome 1990』と
『Live in Leeds 1982』一冊の解説を読む。
読み応えある内容でかなり時間がかかった。


ふと読みたくなって積読の山の中から
寺山修司「For Ladies」というシリーズの復刻を読み始める。
『ひとりぼっちのあなたに』『さよならの城』『裸足の恋唄』3冊セット。
イラストは宇野亜喜良新書館という出版社から出ている。


午後もうひとつ、Einsturzende Neubauten のライヴDVDを。
1990年、西ドイツのテレビ番組「Rockpalast」で放映されたもの。
最近よくこの番組をもとにしたライヴDVDやライヴCDをよく見かけますね。
Stray Cats や PiL とか。
1990年なので5枚目『Haus der Luge』を出した後。
マーク・チャン、FMアインハウトが脱退する前の絶頂期の5人。
さすがにこの頃は演奏がこなれているというか整理されていますね。
『1/2 Mensch』までの混沌や強烈な異物感は皆無。
それともテレビ用の公開録画なのでおとなしいのか。
「Armenia」「Yu-Gung」「Haus der Luge」など代表曲も一通りやってるし。


夕方洗濯物を取り込む。
腹が減ってお茶を飲みながらみかんを食べる。
今日の新聞と一週間前の新聞を読む。
入院した時に溜まったのを遡って読んでいる。
母から電話があって今日の経済欄に載っている嶋中雄二という方は青森の人なのかと。
母の生まれ育った村に多い苗字。
念のため調べてみるが、東京出身とあった。


妻は残業で遅くなるとのことで先に一人でカレーを温めて食べる。
目玉焼きを作って乗せる。
天使の涙』のサントラと Pat Metheny『Unity Sessions』を聞く。
『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』の続きを少し読む。


甲府の友人から退院祝いで巨峰が届く。ありがたく思う。
ボブ・ディランノーベル文学賞
村上春樹は何を思っているだろう。