退院 5日目

6時起き。
寺山修司『はだしの恋唄』を半分読む。
ニコライ・ネフスキーアイヌフォークロア』をイッキに読む。
その名の通り、アイヌの伝承を記録したもの。今から百年近く前。
熊や鳥、海や川。主人公の妹に兄がいるという関係が多いのは
女性のシャーマンによって語られたからだという。
ニコライ・ネフスキーは帰国後、スターリンによって粛清された。


妻は11離の感門之盟。
自宅療養中ということで僕は出席せず。
でもたぶんいろんな人に僕の病状のことを聞かれるのだろう。
僕のアロハシャツを着ていくという案も最初あったが、
のろけてると言われてもなあとやめにする。


久しぶりの快晴。洗濯物を干す。
午後、日差しがリビングに入ってくる。
心地よく過ごす。
昼は蕎麦を茹でて、昨日買ったかき揚げを乗せて食べる。


手術から3週間近く。
腹の傷の瘡蓋がそろそろ剥がれてくる。


ストーンズの『Some Girls - Live in Texas』を観る。
1978年。既にギターはロン・ウッド
タイトルにもあるように『Some Girls』のツアー。
こちらもまた昨日見た1971年、1973年と引けを取らない内容。
iTunes に入れて末永く聞きそうに思う。
まだまだミック・ジャガーの肉体は若く、後半やはり上半身裸に。


近くのポストに保険関係の封筒をもっていく。
帰りにセブンイレブンで、タワレコで買ったCDを受け取る。
Nick Cave & the Bad Seeds の1993年のライヴ。
今年になって再発されたのでリマスターされたのかなと買ってみたのだが、
単なる再発売だった。残念。


『コックファイター』を観る。1974年。
ロジャー・コーマンが何をトチ狂ったのか
闘鶏の映画が存在しないことに気付き、作ったらヒットすると
『断絶』のモンテ・ヘルマンに監督させた。結果大コケ。当たり前か。
主演が『ワイルドバンチ』『ガルシアの首』のウォーレン・オーツ
ハリー・ディーン・スタントンも準主役級で出てくる。
撮影は後の名匠ネストール・アルメンドロス
音楽はなぜか、AOR系シンガーソングライター:マイケル・フランクス
なぜか無駄に豪華。
しかし面白いかというとそうでもなく、何を差し置いても観るようなものではない。


続いて、マドンナの『MDNA』ツアーのライヴDVDを。
圧巻のエンターテイメントショー。
中世の大聖堂。女性スナイパー。マーチングバンド。マレーネ・ディートリッヒ風の娼婦。
ダンサーたちの世界最高峰の動きもさることながら、
セット代わりに巨大スクリーンに映し出される精密な映像や
エロティックでゴージャスな衣装など様々なパーツを総合して生み出されるイメージに圧倒される。
しかもそれは一曲ごとに変化する。
抑圧するものとされるもの。支配するものとされるもの。
それが音楽や性の力によって反転する瞬間をマドンナは描いてきたように思う。
冒涜的で退廃的で、ゆえに秘められたものとしての音楽や性的なもの。
このツアーがその頂点なんじゃないかな。
僕らが観に行った『REBEL HEART』のツアーは比較すると薄味に感じられる。
編曲もよかったですね。「Like A Virgin」はピアノだけのワルツでしっとりといやらしく歌われ、
最後の「Like A Prayer」は逆に80年代の音を活かして客席を興奮の渦に巻き込む。


テレビをつけるとBSでジョコビッチの試合。
夜、卵かけ納豆に納豆、サバの味噌煮の缶詰、わかめスープ。
ブラタモリ』は青木ヶ原の樹海。実際には赤色立体地図が主役。
『凄ワザ』は頑丈だけど履き心地のいい靴。山形と広島の戦い。


Einsturzende Neubauten『Palast Der Republik』を観る。2004年のライヴ。
一回りか二回り下のメンバーが増えて6人体制。
アレクサンダー・ハッケは担当がベースに変わっていた。
先日観た1990年のライヴよりもさらに音が洗練されている。
ノイズよりも叙情性が勝っている。年も年だしな…
80年台の曲は冒頭の「Haus der Luge」と「Armania」のみ。
他は多くが『Perpetuum Mobile』から、など。
パイプを並べて Blue Man Group みたいなパーカッションを叩いてたな。
どっちが先なんだろ?
ブリクサ・バーゲルドはラジオというか、Wave Receiver を操作。
アンテナを伸ばしてラジコンのコントローラーのような。
古くは Can のホルガ―・シューカイか、最近だと Radioheadジョニー・グリーンウッドか。
出遅れ感、今更感があってちょっとカッコ悪い。
とは言いつつ、一度は見てみたい。日本に来ることは…、ないか。