宅急便というもの

宅急便の仕事って大変だよな、と常日頃思う。
ブラック企業の実態に関してあれこれ取り上げる中で、
ヤマト運輸Amazon の配達を請け負うようになってから労働時間が激増した、
というような記事をつい先日読んだ。
容易に想像がつく。世の中の買いたいと思うもののほとんどが買えてしまう。
都内の一部地域で特定の商品を一時間以内に配達するという「プライムナウ」が始まったとき、
あれこれ想像してゾッとした。
二子玉川に住んでいた頃で、駅の広告が「プライムナウ」にジャックされていた )
ついこの間は「Dash Button」のサービスを始めるとあった。
商品ごとの専用のボタンを押すだけでトイレットペーパーや洗剤といった日用品が届く。
申込の小回りが劇的に改善された分、配達量も増える。地獄だ…
個人的には Amazon の倉庫がどうなっているかよりも
ヤマト運輸がどのようにして請け負って実現しているかの方が気になる。


「佐川急便の運転手はシャブを打ちながら長距離トラックを運転している」
「だから2年で家が建つ」
そんな都市伝説が今も囁かれる。さすがにそれはないと思う。
でもまあ大変は大変で、先日知人が送ってくれた荷物が一週間経っても届かず、
問い合わせてみるとこの時期年末年始で集配所がてんてこ舞いなのだという。
クリスマスイブに届けたいとか、そういう指定も多いだろうな。
正月3日の一番遅い時間帯に帰省先の青森から送った荷物を受け取りたいとなると
ヤマトだろうと佐川だろうと21時を超えるのが当たり前。
23時近くでも大丈夫ですか? と電話がかかってきたり、
そもそも忘れられていた、ということもあった。


独身や共働きのサラリーマンの平日だと20時台に集中する。
いっそのこと、深夜便として21〜23時や早朝便として6〜8時
という枠を設けてもいいんじゃないかと思う。割増料金で。
100円200円追加することでより受け取りやすい時間帯を選べるなら、僕は利用する。
でもその実現が難しいのは


・すきやのワンオペが問題になった昨今、人手を確保するのにコストがかかり過ぎる。


・ネット通販みたいに自分で自分に送るなら問題にならないけど、
 送り手と受け手が違う場合、どちらがどう負担するべきか。
 送り手は通常料金を支払って、受け手が割り増し分を払うというのは
 オペレーションとしてもITシステムとしても煩雑。


・ネット通販サイト側で今更、深夜早朝割増選択のUIを追加しなければいけないというのは
 改修コストが発生するのであまりうれしくないだろう。
 開発の現場でこぞって、宅配業者を恨む。


・そもそも深夜早朝の住宅街をトラックが走っていたらうるさいと苦情が出る。
 自転車の一人配達にすると、今度は犯罪等の危険性が問われるだろう。


などなど。かといってコンビニで受け取るというのも
ゴルフクラブといった例外以外はサイズが限られてくるし、
配送に思いのほか時間がかかる。


でもなあ。
僕の子供の頃は宅配便ってそもそも時間がかかるもので冷凍や冷蔵も一般的ではなかったし、
時間帯の指定も午前・午後というようにおおざっぱだった。
そこからしたらとんでもなく早くなっている。
本来もっと感謝すべきなんだよなあ。
雨や雪の中、指定した時間通りに届けてくれた時には特に。


以前荻窪に住んでいた頃は佐川急便だといつも届けに来てくれる方が決まっていて、
青森からリンゴやリンゴジュースが届くとわかっていた時は
少し待ってもらってその場で箱を開けていくつか手渡していた。
いつもとても喜んでくれた。僕もうれしくなる。
単に送る、届けるというだけではなく、そういう何かが必要なんだよな。
都会に住んでいるならば、気にかけておきたいこと。