「ビジネス創出力強化研修 〜ITの現状と未来〜」

昨日は午後ずっと西新宿の本社で社内研修。
「ビジネス創出力強化研修 〜ITの現状と未来〜」
特に期待せず、なんかあるから行ってみようと思っていたら案外面白かった。
コンサルの先生がこの業界の裏も表もよく知り尽くしているという感じで。
いくつかメモを残しておく。(僕の思い違いも込で)


・ガートナーグループの提唱する、5つのテクノロジー・トレンド「SMART」
 −Sensor Networks and the Internet of Things 最近話題の IoT のこと
 −Maker Machines 3Dプリンタなど
 −Augmented Humans ウェアラブルバイスなど
 −Robotics 被災地で活躍するロボットであるとか
 −Tninking Machines AIのこと


 これらの分野は長らく胎児の段階にあったのがようやく赤ん坊として生まれてきて、
 そこから先の成長は早いだろうということ。
 いわゆる成長の四段階で言うところの導入期。
 市場が小さいこの段階のうちに取り組んでおくべきであって、
 急速に拡大する成長期に入ってからではもはやキャッチアップは難しい。


 AIも何十年とかかって遂にその段階に来た。
 ホーキング博士の主張するシンギュラリティ(AIの進化が人間の知能を超える特異点)も
 そう遠くない日に訪れるだろう。


・日本のIT業界はかつてない大きな変化のときを迎えている。
 数年先、システムエンジニアの2/3が失業しているかもしれない。
 そのきっかけが実は、2014年7月1日の
 TCSJ(タタ・コンサルタンシー・サービシズ・ジャパン)とITフロンティアの統合。
 それまで200人規模だった会社がいっきに3000人にまで大きくなった。


 タタはインドの財閥。TCSJは日本への進出は早かったが、目的としたERP製品の販売はうまくいかず。
 インドなので優秀なプログラマーはたくさん控えているが、上流工程が日本の商慣習に合わない。
 要件定義、設計フェーズで頓挫してしまう。そんな状態がずっと続いた。
 どうしたか? 上流工程のできる日本の会社を買収してしまった。


 それまで日本ではシステムエンジニアの月額単価は100万、プログラマーは80万ということになっていた。
 開発工程を海外にオフショアして、実際は20〜30万だったとしてもそれは言わないお約束だった。
 それが崩れる。彼らが日本でも20〜30万という単価で始めたら誰だってそちらを選ぶだろう。
 2019年の消費税対応。それよりも怖いのは軽減税率対応。彼らの得意分野。
 日本のシステム開発バブル崩壊後、Y2Kであるとか特需頼みだったが、
 それを海外の会社がかっさらっていくようになる。


 一方で世の中クラウド化が進んでいる。
 日本では経済規模から計ると55%が大企業、45%が中小企業となる。(数で言うと1:99)
 これまで中小企業はそれぞれビジネススキームが特殊すぎて
 クラウド化できないのではないかと言われていたが、違った。
 もっと大きな単位で、水産加工業界であるとか個々の業界が特殊なのだ。
 これからはIT業界の中で業界の食い合いになるんじゃないか。
 信金のシステムだって10いくつあったのが、今、ひとつに統合されようとしている。
 なんにせよ、クラウド化が進むと市場規模が小さくなっていく。


・「お客様の隠れたニーズを引き出したい」とはよく言われるが、
 ニーズとはかつて、やったことのあるものから生まれていた。
 それが今ややったことのないものから生み出さなければならなくなった。
 それはバブル崩壊までの日本社会が昨日も今日も明日も同じ延長線上にあって、
 正解がある世の中だったのが、
 今や昨日も今日も明日もバラバラで正解のない世の中になったのと同じ。


 そこではやはり「考える力」が求められる。論理思考、想像力、創造力。
 なのに今の日本はそれが「調べる力」になってしまい、いかに google 検索を使いこなすかとなった。
 どうなるか? 考えるという行為が今の若者は検索ボタンを押してから結果が表示されるまでの
 秒単位のものとなってしまっている。質問してすぐ、わかりませんと返ってくる。
 かつての図書館時代には探している情報がどこにあるかわからなかった。
 考えるとは週単位、月単位、あるいは年単位のものだった。


 このような時代に求められる提案力とは雑談力ではないか。
 要件を聞いて資料にまとめることを提案と呼ぶ日本のシステムエンジニアは間違っている。
 もっと幅広い話ができるようでないといけない。
 今、どの企業もヒントやアイデアを求めている。


 そもそも「理想」というものの捉え方が間違っている。
 マイナスの状態をゼロにすることが理想だと誤解している。
「残業が多くて大変だ」という状態に対する理想は果たして「残業がないこと」だろうか?
 マイナスの状態をプラスまで持っていかなければならない。
 そこにこそイノベーションが生まれる。
 イノベーションとはパラダイムシフトで合って、技術そのものではない。
 プラスを考える力とは、仮説をたてる力。


 あるいは。便利なものが当たり前のものになることで見えなくなってしまっていることが多い。
 それを使ったことがない海外の人の不便に気が付かない。
 ゆえにそれが考えるきっかけとならない。
 SUICAは果たして便利なものだろうか? 
 当たり前すぎてもはや人は便利なものとも思わない。
 しかしこの時代に、持っている人が本人という「みなし認証」はどうなのか?
 落として拾った人が使えてしまう。一方で落とした本人はいくらチャージしていても使えない。


・勉強はお金をかけずにやったほうがいい。本も立ち読みでいい。
 日本人はお金をかけるのが当たり前になっていて、そのお金が無くなるとそこで止まってしまう。
 貧しい国の人々は生活がかかっているから姿勢が違う。
 お金がない前提でどんどん工夫し、きっかけがあればどんどん探して身につけていく。
 海外の大学の多くでシラバスやテキストをWEBに公開し、講義を Youtube にアップしているところもある。
 やらないのは日本の大学ばかり、見ないのは日本の若者ばかり。