金沢旅行 その2(1/21 夕方)

予定通り金沢駅到着。
北陸新幹線の開通と共に駅舎が大きく新しくなったんだったか。
とてもきれい。和とモダンが落ち着きをもって融合している。
京都駅に似ていると言えば似ている。
外に出る。ポツポツと雪が降っている。
入り口には巨大な篝火の台座のようなオブジェが設置されている。
バス停は兼六園を通るものとか、観光客でどこも行列。
駅前のドーミーインに荷物を預けて出発。
昼は「八郎すし」を予約している。
浅野川沿い、対岸はひがし茶屋街という場所にある。


通りもまた静かに落ち着いている。歩いている人はさほど多くない。
酒と魚の店がいくつか。和テイストのインテリア用品の店であるとか。
高層マンションであるとか。
名鉄デパートのある大きな交差点でガイドブック片手に待っていると
年配の女性に話しかけられる。お困りですか、どこに行くんですかと。
ひがし茶屋街に、と答えると、この道をまっすぐ行って、…と道案内を始める。
これこそおもてなしの心。金沢の人たちは皆こんなふうに親切なのか。


通りを渡ると「美味しい本屋さん」という店があった。
食関連の本が棚に並んだカフェ。
伊丹十三が訳した『ポテトブック』など。
主計町茶屋街に近づくと京都の町家づくりのような古びた家が増えてくる。
リフォームしてカフェや雑貨屋としているところも多い。
暗がり坂という石造りの狭い階段を下りると茶屋街の瓦に木造の家並みの中へ。
昔はお座敷だったのが、ワインレッドに塗られた家もある。
今や改装して小料理屋や寿司屋となっている。
雨がポツポツと降り始めて、やがて雪。大粒の、重たくて湿った。
浅野川の遊歩道に出る。


大通りを渡ってまた遊歩道を歩く。
金沢は水路の町。1mあるかないかの小さな水路が流れ、橋が架かっている。
妻が友人から聞いた「八郎すし」に入る。
濡れてタオルで頭や背中を拭いていたら通りがかった初老の女性が
「傘差し上げましょうか。私すぐそこですから」と。
やはり金沢の人はやさしい。
カウンターの席に座る。顔が似ているので親子二代でやっているようだ。
水槽にずわい蟹がもっそり動いている。
まずは、とお勧めのお酒を聞くと「手取川」新酒があると。
すっきりして飲みやすい。ラベルに2016と書かれていた。
酒のあてにミンククジラが。やはりワインレッドの。
小さい頃食べたクジラとは全く別物。柔らかく、臭みもない。
言われなかったら何の肉なのか絶対当てられなかったろう。


二杯目は「夢醸」のうすにごり。
「酒を醸して夢を醸す」と書かれている。
頂いたのはたら、子持ちのがすえび、同じく子持ちのあまえび、
アオリイカ、ずわい蟹など。
三杯目に「加賀鳶 黒帯」を熱燗で。
どれもおいしかったけどやはり蟹。
朝市場から仕入れたものを茹でて、新鮮だから酢でしめる必要がない。
がすえびも赤と白とあるうち、高級な白の方を。後で頭を焼いてもらった。


「お客さん、うちの店どちらから?」と聞かれたので
妻の友人にこれこれこういう人がいてと軽く説明すると
「ああ、Nさんでしょう?」と。この界隈では有名な方ですよと。
けっこうな金額になったけどせっかくの新婚旅行。
金沢の寿司を心ゆくまで堪能した。
二代目とあれこれ話していたら
金沢駅日航ホテル近くの「万味」が昔ながらのラーメンを出してくれると。
あと、主計町の並びに日本酒のバーがあって、
そこに金沢美術工芸大学の学生たちが働いていて、彼らが造った酒が飲めると。
Nさんも妻あてのメッセージの中に「N」と書かれたラベルがそうだ、
ぜひ飲んでみてほしいとあった。