金沢旅行 その3(1/21 夜)

寿司屋を出ると雨も雪も上がっていた。
梅の橋を渡る。徳川秋声の記念館があった。
もうひとつ寿司屋でお勧めとして聞いていた「ヤマト醤油味噌」の店に入る。
「いしる」という出し汁を味見させてもらったらとてもおいしい。
甘酒とだしパックを買う。


ひがし茶屋街に入る。ここはさすがに観光客が多い。
レンタルの着物を着た若い女性たちのグループであるとか。
観光案内の人力車も客を待っていた。
倉敷の美観地区に並んだなまこ壁の土蔵を思い出す。
こちらに倉はなく木造のお座敷なので違うけど、雰囲気がよく似ている。
福光屋があった。六本木のミッドタウンや二子玉川高島屋も入っていた。
「加賀鳶」を造っているのはここ。黒帯を買うかと迷って、東京にもあるんじゃないかと。
金沢と言えば、の金箔の店へ。
金箔入りの日本酒や焼酎。奥には黄金の茶室があった。
他、「茶房一笑」で玄米茶を。


ひがし茶屋街を出て、大通りを南へ。兼六園に沿って歩いて、途中から中に入る。
雪が解けかかっていて、それほど風情はなかった。
立派な木々が池の周りに立っている。
雪の重みで折れないようにてっぺんから伸びた縄で
それぞれの枝をしっかりと押さえている。笠をかぶったかのよう。
これを雪吊りという。その後見ると、兼六園だけではなく街中でも見かけた。


すぐ近くに金沢21世紀美術館がある。
今回絶対行ってみたかったのがここ。
例のあのスイミングプールを見てみたいと。
プールの中というか底から水面を見上げることができるという不思議な空間。
プールの上からは歩き回る人たちが見えるという。
来てみると、あ、なんだ案外単純な仕掛けなんだなとわかるけどそれでもこれは面白い。
プールの上と下で別れて写真を撮っている人たちが多い。僕らもそうした。


企画展はトーマス・ルフ展。
jpegの画像を極限まで拡大して思いっきりカクカクした風景とか
(それでも遠くから見るとそれらしくなって、人間の目ってうまくできてると思った)
ネガをそのまま飾るとか。
素人の僕でも思いつくようなことをやって許されるのはそれまでのキャリアがあるからだろうな。
僕がいきなりやっても全く評価されない。
もうひとつの企画展は「工芸とデザインの境目」
タイプライターやコカコーラの瓶のバリエーションを並べて
こちらはデザイン重視、こちらは工芸寄りだと。
一見同じ漆塗りの茶碗のようでいて、片方は樹脂だとか。
他、「ジェームズ・タレルの部屋」という屋根のない部屋だとか、
見逃したけどピピロッティ・リストとか。
トーマス・ルフの図録を買う。


歩いて繁華街の香林坊へ。
庭園も美術館も昔ながらの町並みも全て徒歩で飽きずに回れるというコンパクトさがいい。
なのに100円で乗れる周遊バスもたくさん走っている。さすがだ。
夜間ライトアップされた町並みを巡るバスもあった。
なのに今回見逃したところも多い。
鈴木大拙館だとか泉鏡花の記念館とか。


その繁華街の裏の方に小さな川が流れていて、
並んでいる店はどれも前に橋が架かっていて渡る。
妻が以前友人と訪れたという居酒屋「猩猩」に入る。
カウンターの席に座る。
ずわい蟹を蒸したのと鰤や甘エビなどの刺身は事前に予約しておいた。
他、白子の天ぷら、赤味噌の豚角煮、自家製かぶら寿しなど。
酒は「能登誉 純米 千枚田」「遊穂 しろ」を冷で、「菊姫 山廃純米」を熱燗で。
18時に入った頃には他一組だったのが、20時に出る頃にはいっぱいに。
地元の酒飲みに愛される店だった。


二軒目に、という話も最初あったけど前の日寝てなくて疲れている。
とりあえず駅前に戻る。
名鉄デパート「エムザ」が開いていたので金沢美術工芸大学の学生たちが造った
Nブランドの酒がないか探そうとしたが、飲食店以外は閉まっていた。
駅前の古びたホテルの地下街におでんの店がありそうだったので入るが、閑散としている。
店仕舞いをしているか、常連だけでにぎわっているか。
中の小さな酒屋はつまみを広げて酒盛りを始めていた。
通りの反対側の日航ホテルの地下街も行ってみるが、疲れて帰ることにした。
コンビニでワンカップの酒を買っていく。
「福正宗 旨口」と「手取川 山廃仕込 辛口」


ドーミーインにチェックイン。
名物の夜鳴き蕎麦を食べる。すぐにも満席となった。
荷物を置いて最上階の大浴場に入りに行く。
ここの露天風呂はほんとに屋根がなかった。
これまで利用した全国のドーミーインの中では新しい方なのか、
モダンなデザインの露天風呂だった。
レンガを模したコンクリートの壁に長方形の浴槽。
帰ってくると妻は既にベッドの上で丸くなって眠りこけていた。
まだ22時過ぎ。コンビニで買ったサワーや缶ビールを飲む。
「球辞苑」を見ているうちに僕も寝落ち。
24時過ぎにベッドに入った。