TERRAIN VAGUE vol.61 「ジパンク その音と言葉」

おかげさまで神保町「温室」での
TERRAIN VAGUE vol.61 「ジパンク その音と言葉」が無事終了。
13名の方に来て頂きました。ありがとうございます。
http://onshitsu.com/2017/03/14-020927.php


「温室」では前の日、坂口恭平さんのイベントがあって、そちらはすぐ満席になったのだとか…
http://onshitsu.com/2017/02/22-234805.php


プレイリスト:
01. 友川かずき「生きてるって言ってみろ」(1977)
02. 三上寛「夢は夜ひらく −あしたのジョーなんかきらいだ」(1977)
03. アーント・サリー 「かがみ」(1979)
04. ザ・スターリン「肉」(1980)
05. じゃがたら「都市生活者の夜」(1987)
06. あぶらだこ「翌日」(1985)
07. ザ・ブルーハーツ「キスして欲しい(トゥー・トゥー・トゥー)」(1987)
08. 町田町蔵+北澤組 「麦ライス、湯」(1994)
09. GROUND ZERO 「Red Mao Book By Sony」(1996)
10. VIBRASTONE 「パブリック・エネミー(VIETNAM MIX)」(1992)
11. bloodthirsty butchersファウスト」(1999)
12. GOING STEADY 「夜王子と月の姫」(2002)
13. THA BLUE HERB未来は俺等の手の中」(2003)
14. 遠藤ミチロウ 「NAMIE(浪江)」(2015)
15. SOUL FLOWER UNION満月の夕」(1995)※追加で


奇しくも東北のフォークから始まって、またそこに戻って終わることになった。
パンクから始まった遠藤ミチロウはあれから40年を経て、東日本大震災を経て、
今、何を歌っているかという。


ブルーハーツスターリンじゃがたらあぶらだこの流れだとまた違って聞こえるという。
彼等が音楽的に行きつくところまで行って、
パンクの第三世代や第四世代が観念的なもの、難解で複雑なものになって二番煎じばかり。
あるいは守旧的に「速い、重い、うるさい」のフォーマットを踏襲するバンドのどちらかという。
そこに1980年代半ば、
ブルーハーツが僕らの歌はもっとシンプルなものでいいんじゃないかと若者たちにパンクを取り戻す。
これが1978〜1979年の日本パンク誕生の次の、2回目のパンク革命となった。
パンクは全国区になってテレビドラマの主題歌にもなって、バブルに呑み込まれて、
イカ天もあって、カラオケで歌われるようにもなって、完全に産業化してしまう。
「未来は僕等の手の中」と歌ったはずが、そのメッセージは21世紀の今、有効なものではない。


そのアンサーソングTha Blue Herb の「未来は俺等の手の中
もともとはブルーハーツのトリビュート・アルバムのためにつくったはずが、
カバーじゃないからという理由で却下されるという出来事があった。
そこに今日のパンクや音楽シーンの硬直化を感じる。
ブルーハーツをポップソングとしてとらえたカバーに何の未来があるのか。
きっちりとこれまでのキツイ過去と現実をリリックにした TBH の方にこそ未来がある。
ブルーハーツの志は彼等が受け継いでいた。
形骸化したパンクよりもヒップホップの方がよほど路上のリアルを捉えていた。


今回は来てくれた人とあれこれ話しながら進められたのがよかったですね。
じゃがたら江戸アケミチェルノブイリで地球はだめになると本気で危機感を覚え、
We Are The World」では世界を救えないと苛立っていたんじゃないか」
「年表ではウォークマンの登場を重要事項として挙げていたけど、CDやダウンロードの登場も大きい」
「パンク以後のムーヴメントで忘れてはならないのは Flipper's Guitar と渋谷系ではないか」
「プロデューサーの役割も大きい。彼等パンク50年の歴史をつないだ存在として佐久間正英を忘れてはならない」
などなど。


この最後のところから、次回はプロデューサーをテーマとすることになりそう。
前々から温めていた Brian Eno かな。