今はなき名店たち その7(その後)

以前、「今はなき名店たち」というタイトルでいくつかの店を取り上げた。
先日神保町を歩いていたら「BECO SHNIN」が閉店して、別の店舗へと工事中だった。
その後思い出した店もあるので、引き続き書いてみたいと思う。


「BECO SHNIN」(神保町/牛タン)
 おしゃれな店で入るまで牛タンの店とは気付かず。
 昼の牛タンステーキ丼はどちらかというと牛タンシチュー丼に近かったような覚えが。
 夜もこの手の店にしては割とリーズナブルに飲めて、
 馬刺しにアヒージョなど牛タンにこだわらずいろいろとメニューがあった。
 席のサイズ感が女性向きで、僕ら男性にとっては狭かった覚えが。意外とそこが敗因?


「アミ」(神保町/洋食)
 明大の裏。焼肉ライスが名物メニューで学生たち、サラリーマンたちで昼は賑わっていた。
 年配の方たちがちらほらといたけど、懐かしがってくる明大OBなのだろうか。
 看板には「パブレストラン」とあるけど喫茶店のような独特な雰囲気の店。
 この界隈に最後まで残った昭和とでも呼ぶべきか。
 年配のオーナーが確かシャンソンの歌手で、どこか陰りのある文化的な香りも漂っていた。


「麻雀つかさ」(神保町/カレー)
 雀荘で昼限定でカレーを出していた。400円と安い割には家庭的でなかなかおいしかった。
 雑居ビルの地下。地上に看板が出ていて、「女性の方もお気軽にどうぞ」とあったけど
 これはなかなかは入れんよなあ。奥の方では普通に年配の方たちが麻雀を打っていた。
 あるとき看板を目にしなくなって、雀荘自体閉店したんじゃないかと思う。
 隠れた名店。こういう店こそ「神田カレーグランプリ」に出てほしかった。


「大沢食堂」(千石/カレー)
 かつて日本一辛いカレーを出すとされた店。
 いくつか段階があって、普通のだと極一般的な大衆食堂のカレー。
 それが「極辛」になると真っ赤なペンキのように。
 店主は自分からは極辛を味見することはなかったと。
 かつてキックボクシングの日本チャンピオンだったという。等身大の写真が飾ってあった。


すずらんラーメン」(国立/ラーメン)
 旭通りにあった何の変哲もないラーメン屋。まずくもないけど取り立てておいしいわけでもない。
 昼は一橋大学の学生たちがそれなりに入っていた。こういう店、町にひとつは必要ですね。
 卒業後、ふらっと国立に出かけて「すずらんラーメン」の看板を見かると懐かしい気持ちになった。
 壁には「すずらんニュース」がずっと貼ってあって、プラス50円で定食になると。
 その色褪せた紙のことをなぜか時々思い出す。