『Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band −50周年記念エディション−』

遅ればせながら The Beatles 『Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band』の
50周年記念エディションを買って聴いた。
2枚組で、1枚目は「New Stereo Mix」2枚目は「Sgt. Pepper Sessions」となっている。


久しぶりにこのアルバムをきちんと通して聴いた。
とても鮮明にして、優しい音になっていた。
ジャケットの赤や黄色のイメージに包まれる。
この作品はこんなにも魔法のかかった音だったとは。
「Summer of Love」の1967年にレコードで聴いたら、こんな音がしただろう。


やっぱこのアルバムが彼らの最高傑作か。
たくさんのアイデアが詰まっていて、演奏もきっちりまとまっている。
10代、20代の頃は最も有名で評価されたアルバムゆえに僕は敬遠していた。
一回りも二回りもして、今、僕はこの音がかなりしっくりくる。


昨晩は寒い日で、妻は妹尾河童で有名になったピエンロー鍋を作って待っていた。
食べながらこのアルバムをかけた。
ふたつ前の『Rubber Soul』に負けてられないと奮起した
The Beach Boysブライアン・ウィルソンが『The Pet Sounds』を作り、
それに衝撃を受けたポール・マッカートニーたちメンバーが
『Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band』へ。
そんなロック青年時代の切磋琢磨があったということ。


このアルバムが彼らにとってもひとつの到達点、区切りとなったのか、
次の『The Beatles』(いわゆるホワイト・アルバム)は雑多な曲を寄せ集めた2枚組となった。
しかしこのアルバムが後の世代に与えた影響は大きく、
音楽的に成長したグループはこぞって
そのキャリアの途中でラフに録った2枚組を作るようになった。
妻にそんな話をした。
ジャケットに誰が写っているかとか、このジャケットを真似したアルバムと言えば、とか
いくらでも話題は尽きない。


2枚目はその名の通りまだ完成形に到らないセッション。
クリアな音ゆえに、目の前で演奏しているような迫真さがあった。
セリフのない、ストーリーのないドキュメンタリーのような。


ホワイトアルバムや『Abbey Road』でもこういうの出るのだろうか。
出してほしいですね。
彼らを、とても身近な存在に感じることができた。