みみた王の家

今週もみみたのこと。
一昨日、妻が写真を送ってきた。
手足と胴を一杯に伸ばしきった状態で床に立って、一本の棒のようになっている。
モンドリアンの絵の人物のよう。最初 CG かと思ってしまった。
猫ってこんなに体が伸びるのか!?
一方で丸まるとダンゴムシのようになったり、
脇腹を床に広げて横になるとまるでふかふかした敷物のようになったり。
猫って伸縮自在な生き物なんだなと感心させられた。


…のもつかの間。
その日の夜帰ってくると妻から、ついにみみたがキッチンのラックを上り始めたと。
これまでは四段あるうち、一番下かそのひとつ上の段にもそもそと入り込んで
隙間にうずくまるのを時々楽しんでいた。
みみたが袋を食い破ると片付けが大変なのでその辺りはできる限り食べ物を置かないようにしたら
さらに隙間ができてかなり居心地よくなってしまった。
まあいいかと一ヶ月ぐらいほっといていたら、
昨日、上の段の隙間からパンが一枚残った袋の端の方が垂れ下がっていたようで。
何だろうと引っ張ったのだろう、妻が気付いたときには床にボロボロになったパンと袋の残骸が。
そしてこのラックには上の段があり、自分で上れるのだ、ということを知ってしまった。


夕食を終えてダイニングのテーブルに向かっているとみみたの姿が見えない。
もしやと思ってキッチンに入ると既に上からニ番目の段に上って
電子レンジと上の段の間の隙間に寝そべっていた。
「こら、みみた!」と手を伸ばすと「ニャッ」とこちらをひっかこうとする。
起き上がり、狭いところをもぞもぞと試しているうちに最上段に上がるルートを見つけてしまった。
手を伸ばしてここに足をひっかけて体をひょいとねじったら上っていけると。


最上段をうろうろと冒険して、カゴに入った飴や粉ものを漁る。
ポテトチップや氷砂糖、アーモンドの袋もある。
慌てて僕はそれらを集めて電子レンジの中に押し込んだ。


そこから隣りの冷蔵庫のてっぺんまではすぐ。
すらりと伸びあがってジャンプして、カップラーメンを詰めていたクリアケースの上に着地。
遂に禁断の聖域に到達。
首を伸ばし、満足げに、神妙な面持ちで下界を見下ろした。
卸そうと手を伸ばすとシャーッと本気で引っ掻いてきた。
マジで怒っている。


そういえばこの日の昼、手羽元の骨を流しに置きっぱなしにしていたのを見つけたみみたは
いそいそと運んでダイニングの戸棚の下に隠し、丸くなった。
妻が「こらーっ!」と骨を取り上げようとしたら、そのときもまた本気で怒ったらしい。
そんなこんなでみみたは終日ご機嫌斜め。


いや、ほんとここまで来たら
一日中食べ物をせがんでばかりのみみたから食べ物を隠せる場所がなくなってしまった。
どうしたもんか。
ダイニングとキッチンの間にドアをつけたいという話は前からあったけど
屋根が三角だし、片方の壁がバルコニーに出る窓で構造上無理だったり。
冷蔵庫の上にラックを置くのは便利だったけど、戸締りできる戸棚に置き換えるべきか。


日々の成長と共にどんどんみみたがよくも悪くも賢くなっていく。
頭いいなあと目を細める日もある一方で、最近はこんな日ばかりが増えていく。