大人になった

システムエンジニア人生何度目かのビッグウェーヴ。
難問難所をいくつも抱え、今日また外せない仕事が増えた。


30歳の誕生日を会社で迎えた、システムエンジニア人生最高に忙しいPJのときのこと。
業務が難しくてよくわからず、システム仕様としてまとめられない。
しかもスケジュールが遅れまくっててじっくり取り組む余裕もない。
その頃の上司はただただ怒られるためだけに打ち合わせに出ていた。
なにひとつうまく進んでいなくて、事態は混とんとするばかり。
お客さんとしては「小言のひとつも言いたくなる」どころか、
そういう時期を超えて飛び交う怒声。
上司は打合せを終えるたびに「ふー、乗り切った」と汗を拭いていた。
何が決まったわけでもないし、何が進んだわけでもない。


その姿を見てまだ若い僕は
「こんなシステムエンジニア、こんなチームリーダーにはなりたくない」「なるわけにはいかない」
というか「こんな大人にはなりたくない」「ならないようにしたい」などと思っていた。


でも10数年後、僕がその上司の年齢に近づいたとき、似たようなことを考えていることに気付く。
「ふー、乗り切った、乗り切った」
そして30分ぐらいコーヒーを飲んでウダウダしている。


そうか、と思う。
40過ぎてからの仕事は割り切れないものを引き受けることなのだなと。
それがイコール責任というもの。
人生をすり減らしながら日々をやり過ごす。
それが嫌なら、35までにスペシャルな技能や資格を身につけて
より有用な社会人となっているか、
単純作業に従事して責任もないけど賃金も低い方に流れていくか。
気力体力がガクッと落ちる中、
ここから先は踏みとどまって、何とか今の地位を保つ以外に何もない。


あーあですよ。あーあ。
大人になるってこういうことだったのか。
しんどいけど、がんばるしかない。
まあ、なんとかなる。