神保町レトロ建築街歩き(前篇)

「おさんぽ神保町」の主催する街歩きがいつも好評で、
特に前回「神保町レトロ建築コース」は満員御礼、一般のお客さんだけでいっぱいとなり、
同時開催しようとしていたスタッフ向けが今日に。
妻が参加するというのでくっついていった。
何度か原稿を手伝ったことがあるので僕もスタッフ扱いに入れてもらう。
http://osanpo-jimbo.com/


11:30 学士会館の「紅楼夢」でスタート。
平日限定のコースを特別に出してもらう。
いろいろと用意された資料の中には昭和5年や昭和28〜29年の古書店街の街並みの写真が。
かばん屋「レオ・マカラズヤ」の提供。貴重なものがふんだんに提供される。


食後、さくら通りからスタート。
裏通りに入ったところにある山形屋紙店の蔵を見に行く。
ここにレンガづくり蔵があるなんて全然知らなかった。
東京駅と同じレンガ使われて、東京駅よりも2年早く建てられたという。
今もまだ現役で使われているというのがすごい。


クラッチタイルで覆われた「旧相互無尽会社本社ビル」から
靖国通りに出て看板建築として真っ先に名の出る「矢口書店」へ。
(看板建築とはその名の通り壁に店の看板が埋め込まれた建物)


「神保町ブックセンター」に立ち寄る。
岩波ブックセンター」から変わってブックカフェになったと思っていたのですが、
ガイドを聞くと経営も変わったんですね。
予報の壁の本棚一面が岩波書店の本だけというのは変わらず。圧巻。
昔は土日も静かだったけど、今は若い人たちでいっぱい。


神保町の交差点を渡って、「一誠堂書店
入口から大理石の床が敷き詰められ、アールデコの階段に連なる。
一階が一般書籍、二階が洋書や江戸時代やそれよりももっと前の時代の和本。
これまで何度も訪れたことがあるけど、二階は敷居が高そうで足を踏み入れたのは初めて。
三代目か四代目の社長に二階を少し案内していただく。
まずはショーケースに入ったちりめん本を出してくれる。
木版画で印刷した和紙を縮めて皺を寄せて、独特なちりめんのような手触りを生んでいる。
掌よりも小さなサイズで、明治時代に外国人向けのお土産として作られた。
中身は英訳されたかちかち山やこぶとり爺さんなど。
3万から4万ぐらいの値段がついている。
大量に作られて、大量に捨てられて、現存するものは数少ないのだろう。
かちかち山の兎は「不思議の国のアリス」のようであった。


次に、和本のいくつかを。
先ほどのちりめん本もそうだけど、自由に手に取って中を見てよいという。
江戸時代に作られた、各地方の名産物を絵入りで解説する五巻本(22万)や
葛飾北斎の昆虫見本本(2万だったか)など。
「目さまし本」とあったのは煙草や阿片がいかに素晴らしいものであるか、という本であった。


この一誠堂書店が神保町の古書店街を代表する老舗であって、
ここで学んでのれん分けした古書店が多いという。


店舗兼住居として関東大震災後に建てられた「十一軒長屋」
今は三軒が残っていて、そのうち「本と街の案内所」と
ジョン・レノンのポスターが飾られていた「三鈴堂眼鏡店」はここ数年で閉店済み。
最後古書店が一つ残るのみとなった。
長屋なので二階は住居としてトイレや風呂があったとのこと。


今はおしゃれな雑貨屋になった「元・鶴屋洋服店
すずらん通りに戻って、冨山房ビル屋根に残された、本の背表紙を模した出窓。
そしてやはり老舗の画材・文具の店、文房堂のビル。
第二次大戦の空襲でこの辺りが焼け野原となったとき、この文房堂ビルの外壁だけが残ったという。
建築関係専門の「南洋堂書店」に入る。
(続く)