20世紀の終わりの頃

昨日の午前中は西新宿の本社で研修。
入社時に同じ部門に配属された同期と数年ぶりに会う。
研修の仕切りはひとつ下の後輩だった。
懐かしい顔ぶれにあれこれ思い出す。


あの頃の僕はまだ20代前半だった。
世間知らずで、いろんなことに不安だらけで、だけどわがままだった。
やらかしたことの数々に恥ずかしくなる。


1999年から2000年にかけて。20世紀の終わりの頃。
今となってはかなり時代を感じる名前だが、サイバービジネス事業部というところに配属された。
IT業界の各社がインターネットビジネスを立ち上げたもののまだ手探りという状態だった。
デパートなど大手企業がサイトを立ち上げ始めていた。
サーバにOSとミドルウェアをインストールしてセンターにタクシーで持って行く。
ファイアウォール、WEBサーバ、アプリサーバ、DBサーバという原始的な構成だった。
ネット通販を始めたところはまだ少なかった。ちょうど出初めの頃か。
僕らの部門ではネット上の決済や物流の仕組みを組み合わせて
個客のECサイトを構築・運営する仕事をしていた。
一方で営業にかかってきた電話を取るとホームページを作りたいといったものもあって、
それは営業の方たちが体よく断っていた。


オフィスで使う PC は Windows98 だった。Windows95 のものもあった。
ブラウザは Internet Explorer が全盛で、Netscape Navigator は下火になっていた。
google が世の中に知られ始めた頃か。
ネットで検索するという行為がこれほどまでの重要性をもつとは予想していなかった。
その頃インターネットとは、既に知っている URL にアクセスするものだった。
先行していた Yahoo ! が行っていたのは
有用なサイトを登録してカテゴリ別にディレクトリを作ることだった。
ここまで爆発的に情報が行き交ってカオスになるとは思わなかった。
そこから有意義な情報の流れを見出すこと、いわゆるビッグデータというビジネスは
サイト構築の現場にいると思いつけないことだった。
データセンターのビジネスが始まったばかりで、サーバは購入して実際にラックに配置するものだった。
それがネット上でバーチャルに完結するというクラウドもまた夢物語だった。


JAVAも出始めか。新入社員研修ではアプレットをつくろうなどと。
テキストエディタに入力してコンパイルする。
Eclipse のような統合開発環境はなかったし、SVNのようなバージョン管理の仕組みもなかった。
FLASH なんかもなかったように思う。
PDFファイルも普及していなかった。
ファイル圧縮は WinZip を使っていたな…
開発手法に関する議論も海の向こうでなんかやってるという程度だった。
あるのはプログラミングのノウハウ、TIPS ぐらいだった。


現場で泥臭くやってるうちにインターネットの進歩に取り残されてしまう。
そんな20年だったな。俯瞰してどういう潮流の中にいるのか見極めている余裕がなかった。
というかそこまでのやる気がなかった。
そんな人たちが下支えして今の日本のIT業界が成り立っている。
いいんだか、悪いんだか。