Untitled

波の音が聞こえた
見知らぬ国 眠れない夜
窓から暗闇が射しこむ
歩いていた誰かがそこで立ち止まった


明日からはまた移動なのだという
目隠しをされて音も遮られて列車に乗って昼も夜も
次の流刑地もその次の流刑地も同じ
一人が消えて また別の一人が加わる


腕に焼き印を押され足首に何かを埋め込まれ
薬を飲まされて頭の中のものを全て吐き出す
私は海辺の村で生まれ育った
最後に聞こえるのは波の音だろう