2020年東京オリンピックでのマラソンが猛暑のさなかとなることもあって、
サマータイムの導入が提唱され、検討が始まった。
当然のごとく、あちこちから反対意見が出た。
昨日見かけたニュースだと、
スーパー・コンビニ業界からは生鮮食品の消費期限が時間単位であって、
そのしわ寄せが配送業者や現場の販売のパート・アルバイトに行くため中止を要求したと。
当然のことだと思う。
影響を受けるシステム、業務はかなり広範囲にわたる。
IT業界に身を置いていると考えただけで気が遠くなる。
いつ誰がどうやって時刻を一斉に変更するのだろう。
電波時計の大本の時刻を変えたら
あまねく国内全てのシステムの時刻が一発で変更されるというものではない。
(多くの場合は現在時刻の管理のためにNTPサーバを立てるんだろうけど)
時計そのものはまだいい。
その時刻が来たら起動する処理のタイマーセットを変えないといけない。
そっちのほうがはるかにややこしい。
その実現方式はベンダーやシステムごとに千差万別で、
多くの場合ひとつひとつ変えていかないといけないと思う。
基準時刻を変えれば2時間丸ごと前倒しできるという
きれいな仕組みになっているものはかなり少ないはずだ。
(JP1や千手といったパッケージ製品を使っていても大変だ)
なおかつ、クリティカルな処理なので2時間前倒しで動かさないといけないものもあれば
変えずにそのままでもいいものもあるはずで、その見極めもまた必要となるし、
なにより変更した時には一通りその時刻に動くかテストしてみる必要がある。
複数の企業間で緊密なデータ連携をやり取りしているならば、そのテストも段取りしないといけない。
その工数を誰が負担するのか。かつ、それは売り上げに結びつかない。
そしてもちろん、設定を誤って誤作動することもありえる。
などなど考えると、2000年問題よりもゾッとする。
先日ニュースを見ていたら誰かがもっともなことを解説していた。つまるところ、
サマータイムを導入している欧米諸国のシステムには既にそれは組み込まれているが、
日本にはその制度はないのでこれからシステムに組み込まれないといけないのだ、ということ。
なんでマラソンのスタートを今のまま、午前5時にできないのか。
いや、それ以前に。
サマータイムを導入したところで競技開始時刻は開催国の日本ではなく
IOCが決めるため、もともとの午前7時になるのでは、という話もある。
日本が勝手に2時間早めたところで各国との時差は変わらない。
そもそも10月ではなく8月に開催しないといけない理由としては
欧米のスポーツ中継が9月以後のシーズンに入って競合するから、という。
日本の立場は弱い。
8月の東京に実施するということは夜間であっても30℃近いこともあるわけで。
サマータイムの実施といった小手先の解決ではなく、
もっと根本的なことを考えたほうがいいと思う。
マラソンだけ北海道で開催するでもいいんじゃないか。
猛暑の中で試合を行うのは大変だというには、マラソンに限らず屋外競技全般がそうだけど。