THE TIMERS

熊本から栗が届いて、午前中ボウルに入れた水に漬けて午後になって茹でた。
粗熱を取って皮を剥く。ボウルいっぱいあるのでかなりの量になる。


なんか DVD 見ながらやるかとたまたま入れたのが
THE TIMERS の2年前に出たスペシャルエディション。
オリジナルのアルバムに未発表曲集のCD2枚に、ライヴとクリップの DVD が1枚。


このライヴというのが1988年11月に横浜国立大学横浜市立大学で行われたもので、
思いがけずよかった。ふてぶてしくて、ギラギラしていた。
忌野清志郎が一番尖っていたのがこの頃だと思う。
この年、RCサクセションの『COVERS』が原発反対を強く打ち出して発売中止。
この国では替え歌ひとつ満足に歌えねえのかと鬱憤がたまっていた。
ステージの上のキヨシローは過激派をパロッたヘルメットにサングラスで機嫌悪そうに歌っていた。


『COVERS』が出たのが僕が中学生の時で、なんか怖くて聞けなかった。
初めて聞いた忌野清志郎はこの『THE TIMERS』だった。
DVD を見る。「偽善者」「ロックン仁義」「税」「イモ」といった定番の曲に懐かしさを感じつつ、
ダブルミーニングで韻を踏んだり、ブルースに演歌に多様な音楽性を取り込みつつ
一度聴いたら忘れられないようなシンプルな曲に仕上げていたり、
とてつもなく高度なことをやっていたんだなと。
ただ揶揄するだけならば一本調子なパンクで終わってしまう。
それでは多くの人にとって聞きにくい。面白くない。
実はかなり考えて作ってんだなというのが恥ずかしながら、今更ながら分かった。


そんな中での「デイ・ドリーム・ビリーバー」
このアルバムから独り歩きして忌野清志郎のポップサイドを代表する名曲となって
今はセブンイレブンの CM に使われたり、目をつぶって聞いているととても美しいけど、
ヘルメットにサングラスの小汚い恰好で歌われるからこそ意味があるんだなと。
そういえばこの曲の「彼女」とは
忌野清志郎の亡き母親のことだと書かれていたのをどこかで読んだことがある。
それを知って歌詞を読むとつじつまが合う。
それまでは不思議なラブソングだなと思っていた。


DVD にはオリジナルアルバムに入っていない曲がいくつか。
「彼女の笑顔」「君の席」は忌野清志郎らしい切ない歌。
今回の再発で未発表曲集に入っていてよかった。
もう一曲「メルトダウン」も名曲なんだけど、残念ながらこちらは入っていない。
最後に「不死身のタイマーズ
同名のライヴアルバム『不死身のタイマーズ』は発売されたときに買うべきだった。
今は1万以上する。
僕は当時、国立の DiskUnion でかかっていたのを聞いた。
THE TIMERS / Zerry の鬱屈した気持ちを体現したこの曲こそ、
THE TIMERS の何たるかをよく表している。