「シェイプ・オブ・ウォーター」

非常に強い台風24号和歌山県に上陸。
東京はJRが20時頃より計画的に運転停止。
もしかしてこれって初めてのことかもしれない。
昼から雨が降ったりやんだりを繰り返したが今のところさほど降らず。
20時を過ぎて風が強くなってきた。
自転車を倒しておき、鉢植えのいくつかを玄関の中に入れた。


そんな今日、TSUTAYA DISCAS から届いた『シェイプ・オブ・ウォーター』を見る。
今年のアカデミー賞の作品賞、監督賞を獲得。
ヴェネツィアでも最高賞の金獅子賞を。
アマゾン川で捕獲された半魚人が軍の施設へ運び込まれる。
声を失った、清掃係の女性が「彼」と恋に落ち、施設から連れ出す。
港から海へと逃がすために雨が降る日を待つが…


グロテスクなシーンも多く、妻は何度も目を背けていた。
でもこれは確かにアカデミー賞にふさわしい傑作だと思う。
怪獣映画が初めて作品賞を受賞したと言われていたけど、
これはどちらかと言うとストレートなラブストーリー。
というか、今のアメリカはこんなふうにひねらないとラブストーリーを描けなくなったのか。
いや、普通のラブストーリーは今もたくさん作られているはずですが。


複雑、というか屈折している。
同じ作品賞で言えば『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を思い出す。
あれも主人公は超能力者ということになっていたけど、
それで何を解決するわけでもなく、何が解決できるわけでもない。
そんな力があってさえ、結局のところ人は無力だということを語っていた。


シェイプ・オブ・ウォーター』の監督ギレルモ・デル・トロ
『バードマン』の監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥもメキシコ出身。
既に何度も語られてきたことだけど、
ゼロ・グラビティ』の監督アルフォンソ・キュアロンも加えて
今、メキシコ出身の監督が最も実力があって、想像力豊かな作品が撮れると。
アメリカの周辺に出自を持つアウトサイダーというのが大きいのだろう。
常に自分を阻害するものと向かい続けなければならない。
しかしそれは、世界というものであれ、アメリカというものであれ、巨大で複雑すぎて、
想像力を働かせないことには、比喩や寓意を用いないでは捉えきれない、表現できない、
ということなのだと思う。
その中にいる人は皮膚感覚のリアルを求めるだろう、
その外にいる人は何かに見立てなければ言い表せなくなってしまう。
それが映画を撮るにあたっての題材の選び方に出ているのではないか。


ここまで美しいラブストーリーを撮るには、半魚人に託すほかなかった。
あの終わり方はハッピーエンドなのか、アンハッピーエンドなのか。
前者であってほしいと思う。