『ローズ』

昨晩、TSUTAYA DISCAS から借りた『ローズ』を見た。
1979年の作品。
ベット・ミドラージャニス・ジョプリンを元にしたとされるロックシンガーを熱演。
熱演どころか、これは一世一代の名演技だろう。


酒にも男にもだらしないアル中だけどかろうじてクスリはやめている。
見た目はヒッピー崩れの派手好きなあばずれ、たいした美人ではない。
なのに歌だけはめっぽううまい。
その力だけでかろうじて生きているような。
身体も精神もボロボロで休みが欲しいと言っても
マネージャーはこれは大きなビジネスなのだからと一蹴する。
ニューヨークでのステージを成功させた後で
たまたま乗ったタクシーの運転手に助けられたことから恋仲になって朝まではしゃぎまわる。
結果レコーディングをすっぽかす。
不安と孤独を振り払うために酒を飲めば飲むほど募っていく。
運転手だった彼とは喧嘩別れ、新しい男をつかまえる。
もはや素面の瞬間はない。
そんなこんなでズタボロのまま故郷マイアミでのコンサートの日を迎えるが…


ベット・ミドラーというと貫禄のある大御所シンガーというイメージがあったけど、
この頃はまだスリムだった。というと失礼か。役作りのためかかなり痩せていた。
全体の 1/3 がステージの場面かな。この歌いっぷりがすごい。
マイクスタンドにしがみつき、崩れ落ちるようになってシャウト。
ロックシンガーが本業といってもおかしくない。


アカデミー賞の主演女優賞になったんだっけ? と思って調べてみたら
この年はノミネートされたものの受賞せず。
ノーマ・レイ』のサリー・フィールドだった。
ああ、これは仕方がない…
作品としても素晴らしかったが、
このとき、サリー・フィールドアカデミー賞のみならずカンヌでも主演女優賞を獲得した。
僕の知る限り同じ作品で両方の主演女優賞を獲ったのはこの時だけかな。たぶん。
(なお、サリー・フィールドは5年後に『プレイス・イン・ザ・ハート』でもアカデミー主演女優賞に)


『ローズ』に話を戻して。
サントラも秀逸で、ここ数カ月の間に何度か聞いた。
「When A Woman Loves A Man」のカバーであるとか。
ラストのタイトル曲も映画を見た後だとなおさらしんみりくる。
アカデミー賞の話をすると、歌曲賞にはノミネートもされず。残念な。
この年は『オール・ザット・ジャズ』だった。確かにこれは強敵な…