Oh! 透明人間

もしも自分が透明人間になるならば。
というか、全世界の人がある朝起きたら同時に。


最初のうち混乱があって、そのうちに秩序を生み出そうとする。
帽子をかぶり服を着るとか、身体に害のないペンキを塗るとか。
そんな工夫でかつての日常を取り戻そうとする。


しかし、もちろんその流れには従わない人たちもいるだろう。
ある種の犯罪集団であるとか。
最後まで残った透明なままの透明人間を山奥まで狩り出すことになる。


基本透明なままだとしたら
若い男性が、若い女性の裸を見ようとしてどうこうということが起きない。
自分が透明でいる理由は犯罪か孤独かそれぐらいしかなくなる。


全身を覆うタイツみたいなのを身にまとい、顔には仮面を。
人前に出るときはそれがスタンダードとなるか。
しかしそれでも性行為の際はそれを脱ぐことになるはずであって。
触覚と嗅覚が今以上に大事とされる。


など、など。
それはそうと透明人間になったら
食べ物が消化されるときの過程が逐一見えてしまうんだったか。
下から排泄されるのはどうなるのか。
結局透明人間って無理なんですよね。
そういうのが場合によっては空中にふわふわ浮かんでるわけですよ。
トマトジュース飲んだのが流れて行くとか。


動物たちも同時に透明になると
車を運転したときに透明な死骸の数々が…
それは困る、というか切ない。


とある恒星系のとある惑星は
何万年も何十万年もずっと住民は透明で、そんなところもあるだろう。
そこではおそらく住民たちは盲目となるのではないか。