デラックスエディションというもの

遅れて、『Rockin'on』を買う。
ここ数年ほとんどディスクレビューしか読んでない。


The Jimi Hendrix Experience『Electric Ladyland』の50周年記念盤が出るのを知る。
3CD +Blu-ray で、デモ音源やライブ音源など。
欲しい。これは買う。
2018年ということは、ロックの最盛期が始まった1968年から50年というわけで。
The Doors も確か『Strange Days』のデラックスエディションを出していたなと。
そういう商品が今後増えるんだろうな。


というか、「ここ数年」デラックスエディション再発ばっかり買ってる。
再発じゃないにしても
The Rolling Stones も『Boodoo Lounge』の頃のライブ音源を
2CD + DVD / Blu-ray など、複数のエディションで発売予定で。
これも買っちゃいそう。


しょうがないですよね。
ロックが一番輝いていたのはこの頃、60年代後半から70年代前半なわけで。
当時最盛期だったバンドの音源は何でも買いたくなってしまう。


ここでハタと気付いた。
ようやくこの僕も気づいた。遅すぎた。
そうか、この何十周年記念エディションって
お金を持ってて、ダウンロードよりも CD のボックスセットだとか
LP とか物理的なモノが好きな40代以上をターゲットにしてんだなと。


今更言うまでもなく、CDは売れない。
10代・20代はダウンロードで聞く。
わざわざ場所を取るものを買う意味があんまりない。
その辺で売ってる CD という消耗品だったらなおさら。


じゃあ、どこに売る?
…正しい選択だと思う。
そしてそのど真ん中のカモが僕なわけだ。
CDを1枚売るよりも、60年代・70年代に録音された過去の音源を組み合わせて
(つまり、マスタリングなどの手間はあるにしても重要な作業は数十年前に終わっている)
付加価値をつけて3枚組にしてそれなりの値段で売った方がいい。
悔しいが、なんも考えずにホイホイ買い続けてきた。


こういったプロダクトを喜んで買っている世代が少なくなった数年後か十数年後、
ロックは完全に死に絶えるんだろうな。
Queen? David Bowie? 誰それ? というような。
『Rockin'on』も今号の表紙は Queen で、
特集は The Beatles / King Crimson / Jimi Hendrix / Muse / Smashing Pumpkins という。
少なくとも90年代から時間が止まってしまっている。


ロックに未来はない。
ロックは死んだと1970年代後半、パンクの時代に言われたものですが。
それが本当に来る時代が来るとは。
正しくは、死んだというよりも後期高齢者の豪華な延命治療のようなものかな。