雪の色

雪が白色ではなく黒色だったらということを考える。
吹雪の日だと雪国は日中から真っ暗ということになるだろう。
吹雪じゃなくても外はどんよりと暗い。
スキーやスノボをやる人も少なくなるんじゃないか。
雪国の自殺率は今よりもかなり増えるだろう。


なんでそんなことを考えるかというと
真冬の荒れた空を覆う雲は白なんてことはなく、
どす黒いまでの灰色になっているから。
そこから降りてくる雪はなぜ灰色ではなく、白なのか。


いや、理屈ではわかる。
空中に固まって浮かんでいる水分の密度が光を反射してというような話。
しかしよくわからないのは、
サラサラの雪も水分を含んで重たい雪もどちらも真っ白だということ。
そこに色の濃淡はない。


大気汚染により雪の核が煤のようなものとなるならば雪の色も変わるだろう。
世界の終末をめぐる寓話としての黒い雪が考えられる。


かつてこの世界は黒に限らず、地方・国によって赤や青の雪が降っていた。
しかし、人間たちがやらかして以後神様は雪の色を白にしてしまった。
そんな神話・民話があってもよさそうだが、今のところ聞いたことはない。
青い雪の降る人たちの国では春になると青い色の川が流れることになる。


オレンジとかライムグリーンとかレモンイエローとか
カラフルに着色された雪を囲われたイベント会場など狭い範囲で降らせることができたら
事業として成り立つかだろうか、ということを考える。
シロップのかかったかき氷のような。
口に入れてもいいように食紅の類から作ることになる。
でもこれは技術的な難易度がどうこう以前に
複数の色の雪が解けたときに混ざり合ったらどろっとした汚い色になってしまう
というところでそもそもNGだろう。
衣類に付着したときにすぐ洗い落とせて残らない、といった配慮も必要だろう。


解けたら、というか気温の変化に応じて無色透明になる塗料をつくれたらいいんじゃないか?
実現したら冬季オリンピックの開会式・閉会式で使われてバカ売れしそうだけど。
いや、オリンピックのアルペンスキーとか必要に応じて雪に直接着色しているはずで、
わざわざ手間暇かけて降ってる時点で色がついている必要はないか。
クリーム色の雪や水色の雪が降っていると
色合いによっては幻想的な風景になりそうだが…
お菓子の国に暮らしているかのようで。