百景社『岸田國士戯曲百景』~日本民藝館『柳宗悦の「直観」』

茨城県土浦市を中心に活動する劇団「百景社」が
久しぶりに東京で公演を行うというので妻と見に行く。
今回は『岸田國士戯曲百景』と銘打って、
その名の通り岸田國士の残した70近い作品のうちから7つの短編を選んで上演するというもの。
プログラムは3つに分かれていて、そのうち僕らは「驟雨」「葉桜」の回を見に行った。
場所は駒場東大前のアゴラ。
 
7時半に起きて「まんぷく」を見て、洗濯をして家を出る。
一度駅前の駐車場に車を取りに行って戻ってくる。
大江戸線で代々木まで行って、渋谷から井の頭線に乗る。
11時開演で10時半には駅に着く。
ちょっと早いかなと思っていたら雨が降り始めてすぐにみぞれ。
腹も減っていたところに目の前に「かどや」というパン屋。
入って一番人気だというカレーパンを食べた。
昭和の時代の雑貨屋とつながっている。懐かしい空間だった。
アンパンマンのパンを販売してよいという許可証が額に飾られていた。
素朴な感じだけど安くておいしい。家の近くに欲しいパン屋ですね。
 
「驟雨」はセリフのやり取りで見せて、
「葉桜」は百景社らしい意外な仕掛けで持ってってしまう。
小品だったけどしっかりと百景社の舞台を堪能。
岸田國士ってこういう作品を書いたんだ…
大正時代の日常生活の一コマを切り取っただけなのに、今に通じる視点がある。
全然古びていない。むしろ永遠に新しい。
何を求めて、何を嫌ってるのか、それぞれの役柄・性格がはっきりしていて、
そのちょっとした噛み合わせのずれで感情が揺れ動いていく。
切り取る一コマは家庭の中の小さい枠組みかもしれない、
しかし閉じることなく、その背後に社会とかもっと大きいものが動いているのを感じさせる。
演劇のお手本のようだ。勉強になった。
 
駅の反対側に出て、日本民藝館へ。
この界隈は不思議なセンスの建物が多いですね。
メインの展示は「柳宗悦の「直観」」
楽譜、木彫りの像、反物、錠前、農具…
柳宗悦が世界各地で蒐集したものなんだけど、いつどこの誰が作ったのかという説明は一切なし。
何に使うのか、何を象ったのかわからないものも多い。
そういうものが静かに、アトランダムに並んでいる空間の重みたるや。
併設展のうち、「芹沢銈介の染色」の鮮やかにして静謐さのある色彩の感覚がよかったですね。
河井寛次郎濱田庄司の陶芸も。
今回ようやく気付いたのが、民芸と呼ばれる器たちにはタイトルがないんだなと。
なんとかという素材を用いた皿、といった但し書きが必ずあるが、
それを「青空」とか「天の鼓動」だの名づけたりしない。
蹉跌の硯は蹉跌の硯。それ以上でもそれ以下でもない。
そういうことか、となんか少しわかった気がした。
 
新宿に出て、ぼてぢゅうでお好み焼きを食べ生ビールを飲む。
妻が紀伊国屋書店に寄るというので DiskUnion へ。
「The Kings of 」シリーズの Electro と Techno が安く売られていたので買う。
100円のコーナーでは Clinic と These New Puritans を。
帰りの大江戸線で爆睡。
日のあるうちに帰ってきたのに、二人とも何だか妙に疲れたと。
昨日の最高気温23℃を超えたのが、今日は打って変わって9℃だったか。
寒い一日だった。あちこちで桜が咲き始めていた。