The Big Issue

日曜に妻が大阪から帰ってきたとき、
久しぶりに買ってきたと鞄の中から『The Big Issue』を2冊取り出した。
最新号なのだろう。
vol.363 特集「多様な魚とたわむれる」 スペシャルインタビュー:ジェシカ・ローズ
vol.364 特集「ホームレス支援をアップデートする」 スペシャル企画「セサミストリート」リリー
 
恥ずかしながら初めて手を取って読んでみた。
すごいしっかりしている。落ち着いた、地に足のついた感がある。視座があるというか。
知人がホームレス特集がよかったと言っていたのを思い出した。
きれいごとに陥らず、だけど誰も攻撃せず、当事者意識をもって語っているのではないか。
 
トム・ヨークリリー・フランキーが表紙のとき、買おうかなと一瞬思ったけどやめた。
ホームレスの人が売っているというところに衛生的な問題があるという偏見を
心のどこかで持ってしまう。
じゃあその俺はどんだけ清潔なのかというとたいして変わらないはずなのに。
買っているところを、ホームレスと接していているところを見られたくない、
という気持ちもある。正直な話。
赤い羽根共同募金の箱にお金を入れるときの気恥ずかしさもある。
飯田橋駅近くでいつも売っている人がいて、職場の知り合いに見られたくないとか。
心の中のどうでもいい壁が高すぎる。
 
妻が取り出した2冊はプラスチックの透明な袋に入っていて、
僕が気にするような問題は何もなかった。
なんだ、そういうことだったのか。
 
感心したのは最後の方の「ホームレス人生相談」のコーナー。
ハンカチを幼稚園にもっていくと友だちにちょうだいと言われる、
ひとつしかないのでどうしたらいいですか、といった質問にこう答えている。
『あげられないものは、「ごめんね、これは大切なものだからあげられない」と
 はっきりと言うのが一番いいけれど、言うのが難しいなら、
 なるべく幼稚園には使いなれたハンカチをもっていくのがいいなあと思います。
 または、「これはあげられないけど、今度、折り紙や布でおもちゃを一緒につくろうよ」
 と手作り遊びにさそってみるのもいいかもしれません』
(本当はこの前後にもう少し話が続く)
人としてどうするべきか真っすぐに答えているし、実際的な知恵もある。
僕にはこんなまっとうなこと、言えるだろうか。
 
奈良県・生駒のIさん、とある。
なんでこんなまともな方がホームレスなのか。
まともだからこそ、このご時世生きにくいのか。
もう一冊の方では「息子からUFOはいるのかと聞かれて困っている」という質問に対して
いるとしたらどこから来るんだろうと興味を膨らませるとよい、
図鑑を開いたり、プラネタリウムに行くといいでしょう、と。
いたって当たり前の回答なのに、なんでこんなに暖かい気持ちになるんだろう。
 
今度は僕が自ら買ってみよう。