最近見始めるようになった番組が
NHK BS の『街録』(毎週水曜、23:00-23:30)
町行く人に街頭インタビューをして、その中から5・6人ほど紹介され、
ゲスト3名のトークがそこに挟まる。
テーマは「人生最大のピンチ」「あなたの転機」という感じのものが多いかな。
そしてそこから何を学んだか。
ただ心温まるだけのいい話、というものは出てこない。
ゴールデンウィーク頃はまだ500人ぐらいにインタビューだったのが
昨日のは995人だった。
その分視聴率が増えて制作側の体制も大きくなっている、ということなのだろう。
収録場所は銀座が多く、他、巣鴨、大山のアーケード商店街、高円寺。
大阪や京都でやっても面白いんじゃないかと思う。
『ドキュメント72時間』といい、『新日本風土記』といい、
このところ NHK がドキュメンタリーから派生させたコンテンツは秀逸なものが多い。
土日の銀座を歩いていたら呼び止められて街頭インタビューを申し込まれるかもしれない。
翻ってこの自分にピンチや転機があっただろうか、と考える。
ないわけではない。しかし、それは人に語るに足るピンチやチャンスだっただろうか、
番組で3分から4分ほどの尺に「縮める」ほどの深みや広がりを持っているだろうか、
というと全然そんなものではない。
「高校時代、演劇部の部室に寝転がってたたまたま岡崎京子の『Pink』を読んだときに、
ああ、僕も東京に出ようと思った」
なんてのは「で?」で終わり。
せいぜい「作品のどこに共感しましたか?」と聞かれるぐらい。
そう考えると、平々凡々な人生だったんだな。
ピンチというピンチがなかった。介護が、とか、病気が、とか、倒産が、とか。
それがいいことなのか、どうなのか。いいことなんだろうけど。
ほんとに僕にはピンチがなかったのか。
トイレ関係しか思い浮かばない。
仕事上、これは間に合わないとか自分の作業ミスで障害が起きたというのはあるけど。
センターの床に置いてあったサーバを作業中に蹴ってしまったら
それがファイアウォールでお客様のサイトが閲覧できなくなったとか。
でも、そこから何を学んだかというと「気を付けよう」ぐらいの話で。
困難を乗り越えて何かを得た、成長した、という最低限の物語の型がなければならない。
そう考えると僕の人生は、ピンチがなかったというよりも学ぶことのなかった人生なんじゃないか、と。
いや、でもなんかあるはずだよな。
もっと探してみる。
でないと銀座に行けない。