間違い電話

 
間違い電話って仕組み、面白いなって今更ながら思う。
かかってきてもいいことはないし、かけてもめんどくさいだけだけど。
そこから恋愛につながるというのは漫画でしかありえない。
でも、なんか面白い。
 
桁数が違うし、数字じゃなく英数字だしで組み合わせは無限。
メールアドレスを打ち間違えて他の人に届くということは、
よほど短いアカウント名でない限りなかなかない。
普通、宛先不明でメールサーバから返信が届く。
(そもそも宛先のコピペを間違って別人へというのはあるが)
向こうに届いたとしても、開いたかどうか、読んだかどうかはわからない。
 
一方で電話番号は桁数が決まっているし数字だけだしで
使われていない番号でない限り、間違えたらどこかしらにつながることになる。
電話に出て、その人とわずかながら話すことになる。
想定した相手かどうかこちらは声を発して確認し、向こうは違いますと答える。
最低限のコミュニケーションがそこには生まれる。
 
以前どこかで読んだんだったか、聞いたんだったか。
暇なとき、ゼロを押して日本国内として、
そこからでたらめな番号を9個押してわざと間違い電話にして、
出た人の反応をうかがうという。
「すみません、間違えました」ガチャ、と切られる数秒だとしても
向こうの話す間合いだとか背景に聞こえる音だとかいろいろと違う。
とんでもなく予想外なところにつながる可能性もある。
もしかしたら勘違いした先方が一方的に話し込むことだってあるだろう。
 
昔は交換手が電話回線を手動でつないでいた。
「どこそこの○○さんお願いします」と電話局に伝えると、
オペレーターの女性が該当の個所に差し込む。
そのときにつなぎ間違えるということもあったという。
 
その後機械で自動でつながるようになる。
あるときまで電話が混線するということもあったようですね。
1:1ではなくいくつかの接続が一緒になってしまい、複数人で同時に会話する状態になる。
アメリカのコラムニスト:ボブ・グリーンのコラムに
あるとき電話が混線して会話が入り乱れているうちにハイになってきて、
思いがけなくパーティーのように盛り上がってひとしきり楽しい時間を過ごす。
せっかくだからみんなで会おうよということになって
何時にどこそこの店でと決まって、皆オーケーと言い合って電話を切る。
しかし誰も来なかった、ボブ・グリーンにそのときのことを話した一人以外は。
そんな話を思い出した。
それってなんかわかる。電話ならではの、こと。