えぞ松とインドール

昨日、弁当はお休みして久しぶりに外で食べようと。
しかしそれほど時間はない。
駅前の「えぞ松」に行ってみるかと思う。
ホイコーロー定食で有名な店。ここ1年ぐらい食べてなかった。
入るとサラリーマンや工事現場の作業員で狭いカウンターはほぼ満席。
皆無言でラーメンや炒飯を食べている。
頼んで、作って、食べて出ていく。ただそれだけの店。
古き良き、町中華の店。
 
ホイコーロー定食がすぐ出てくる。
大皿に山盛りのご飯、その上にホイコーロー。わかめスープ。
ふと見るとドアに張り紙がしてあって
建物の老朽化に伴い2月末で閉店しますと。
そうか、たまたまだけど最後に一度この店で食べることができてよかった。
まあ、本店がもうひとつあるのでこのホイコーローはまだしばらく出会えるんだけど。
(ちなみに次回の『町中華で飲ろうぜ』の後半が飯田橋で、この本店が出るらしい)
 
厨房には二人、年配の男性がいて
「手がしびれていけねえ」みたいなことを言っていた。
建物と共に彼らも引退するのかもしれない。
黙々とホイコーローをつくって、ラーメンを茹でていた。
 
同じ建物の中にカツカレーと生姜焼きで有名な「インドール」という店があった。
こちらも去年のどこかで突然閉店していた。
年配の夫婦で切り盛りしていて漬物とかあれこれサービスしてくれたな。
前を通るたびにその後入る店がないのか、と思っていたけど取り壊しが決まってたからだな。
閉店の張り紙には
「映画の森田芳光監督の曰く日本一の生姜焼き 愛されて五十年皆さま御機嫌よう インドール
と書いてあった。森田監督は若い頃、ギンレイホールでバイトしてたんだったか。
こんなふうにして昭和の名店がひとつ、またひとつと消えていく。
 
閉店する店のレシピを取材し、
公開するようなサイトがあればいいな、なんてことを思った。
誰かがその味を受け継いでいく。