柳沢慎吾という人

NHK-BSでの『おしん』の再放送が終わって、次は『はね駒』となった。
昼を食べながら最初の何回かを見た。
斉藤由貴が若い。ジュリーが若い。渡辺謙が若い。角野卓三が若い。
なんて妻と言いあってるうちに、んん!? と目が釘付けになったのが、
柳沢慎吾が、若いという以前に全然歳を取ってないんじゃないか、
ツヤとかハリの差は確かにありつつも、今も変わらずこの顔だよなと。
 
『はね駒』は1986年、35年前。
あの頃から老け顔だったというのではなく、今がベビーフェイスというのでもない。
ふぞろいの林檎たち』の時任三郎中井貴一たちが年相応の顔になったのに。
柳沢慎吾だけが変わらない。
 
もっと言うと、その存在感が変わらない。
上っ面だけの軽い人間のようでいて、
そういう人間ならではの八方塞がりな辛さも体現しているというような。
ニッチなポジションを見つけたから生き残れたというのもあるんだろうけど、
老舗のラーメン屋が何十年も同じ味のようで季節ごとに味を微調整しているという、
そういう苦労もあるのだろう。
いや、難しく考えず自然に振舞っていたらこうなったのか。
柳沢慎吾という人へのインタビューって読んだことない。雑誌で見かけたことがない。
ここ数年、なんかとても気になっている。
 
「あばよ!」の一言で芸能界を渡ってきたというなるのか。
「生涯イチあばよ」とでもいうか。
一生食える芸、一生食えるネタがあるというのは芸能人にとってとてもうらやましいことだろう。
ただのオヤジギャグではない。
お世辞にもカッコイイとは言えない三枚目が、二枚目を気取って言う「あばよ!」
そのおかしさ、もの悲しさ、逆説的なかっこよさ。
あの決めゼリフが最初に出たのは『ねるとん』だったか。いい時代だった。
ひとりで甲子園とか警視庁とか『ふぞろいの林檎たち』をやるのも面白かったな。
 
ふぞろいの林檎たち』もまた見返したいな。BSでやらないかな。
柳沢慎吾は大学を卒業して一度はサラリーマンになるものの、実家のラーメン屋を継ぐ。
あれが生涯の当たり役か。そういうのを呼び寄せる才能があるんだろうな。