『海人ゴンズイ』

先月、ジョージ秋山が亡くなった。そのニュースを先日知った。
浮浪雲』や『銭ゲバ』辺りが代表作に挙げられるし、
恥ずかしながら僕も拾い読みしかしていないが、やはりその辺りだと思う。
でも僕が真っ先に思い出したのは少年ジャンプに連載されていた『ゴンズイ』だった。
 
今調べたら正しくは『海人ゴンズイ』だった。
異様な漫画だった。
地の果てというか海の果ての南海の孤島。
島の娘は赤子を産むが、虫に食われて死んでしまう。
しかし気の強い娘は骨だけになった子供を地面に並べかわいがっている。
そこに難破して辿り着いた船の生き残りであるゴンズイという真っ黒な少年が現れ……
乳も吸わせていたように思う。……少年誌で。
子どもが主人公というだけで内容は完全に青年誌向け。
 
南海のどんよりとした暑さ、どこからカラッとした絶望を体現した絵のタッチもインパクトあった。
僕が少年ジャンプを熱心に読んでいた中学生の3年間の間にたまたま発表されたので覚えていた。
小さい子が読んだら確実にトラウマになる。
(いや、でもあの頃のジャンプにはそういう漫画も時々あったな。
 『ブラック・エンジェルズ』とか。
 『ジョジョの奇妙な冒険』の前に荒木飛呂彦が連載していた『バオー来訪者』とか)
 
何かのはずみにあの作者がジョージ秋山だと知ったのは数年前のことだったように思う。
そのきっかけは今となっては思い出せない。ゴンズイが先か、ジョージ秋山が先か。
 
でもそのゴンズイもすぐ連載終了。1巻に収まってるみたいだけど何話あったのだろう。
僕も途中から読まなくなって結末がどうなっているのかわからない。
しかしその頃既に大御所であって、三顧の礼をもって連載をお願いしたはずなのに……
少年ジャンプはやはり厳しい。担当は胃が痛かっただろうな。
毎週の人気投票も最下位辺りだったんじゃないか。
しかしそういう冒険が少年ジャンプ側にもジョージ秋山側にも必要だった。
きっとそうなのだと思うことにしたい。