脾臓の血管肉腫

大学の寮の友人から昨晩 LINE のグループに連絡があって
健康診断でがんが見つかって今日手術すると。
朝目が覚めてメッセージを送ろうとして眠れなくなった。
 
僕はもう4年になるのか。
前の年、診断のエコーで脾臓に影が。
再検査でMRIを受けると腎臓の方に腫瘍が見つかる。
紹介状を書いてもらって大きな病院で検査を受けると「8割方がんです」
その場で入院・手術の日程が決まった。
開腹手術で腎臓の一部を摘出する。結果良性だった。
 
その次の年もエコーでひっかかる。
もう片方の腎臓ということになっていたが、
同じ病院でまた検査すると腎臓は問題なし、脾臓に腫瘍ができていますと。
前の年モヤモヤとして引っかかったのが実際に何かできていたのか……
脾臓は血液の詰まった水風船のようなものでメスを当てると破裂してしまう。
一部サンプルを採取して悪性か良性か診断するということができない。
良性だったとしても大きくなっていずれ悪性になる可能性も否定できず、
いずれ摘出するしかないということになった。
 
2年続けての入院、手術。
手術そのものはうまくいってしばらく病院で療養生活を送る。
一度数値が悪くなって入院が伸びたりはしたが、少しずつ回復に向かっていった。
退院を前にしてある日、病理診断の結果を聞いた。
血管肉腫であったという。
脾臓にできるのかかなり珍しいケースで、日本でもまだ40数例しか症例がない。
これまでかなり悪化してからでないと見つからなかったため、その時点で手遅れ。
皆亡くなられている。
偶然最初期に見つかったのは僕が初めてだったか。
相当レアなものを引いた……
 
その症例の少なさゆえに悪性か良性か判断できず。
悪性だったという前提でその後経過観察を続けることになった。
最初の2年は毎月その病院に通ってCTスキャンかエコーを。
昨年からようやく3カ月に1回となって、今年から半年に1回。
来年で5年目、終えるとサバイバーということになる。
その間特に体調が悪くなることもなく、肝臓など周辺の臓器への転移も見られない。
まだ油断はできないが、今までは順調に来ている。
 
担当の先生も2回変わった。
最初に担当された、執刀医でありその後の経過観察も見ていただいた先生は2年後に退職、
その次の先生も1年後に退職か異動。
「このケースで生きているのは岡村さんだけです。レジェンドです」と言われたことを覚えている。
 
そんなにレアなら症例として詳しく研究されるのだろうかというとそんなこともないのか、
いつも淡々と検査を受けて、診断を聞いて終わり。
世の中それだけ病気の数が多いのだろう。
しかしその後脾臓の血管肉腫になった方がいたら、
それまでは助からない病気とされていたのが、術後生存されている方もいます、
ということになっているのかもしれない。希望を与える。
だったら僕も知らないうちに人の役に立っていることになる。
 
大学の寮の友人もこれから手術か。
無事終わることを祈る。