夏の終わりの一日

仕事も落ち着いてきたので
今日は気分転換に長めの昼休みをとることにした。
在宅勤務ならでは。
 
駅ビルに用があったついでに遠回りして公園の中を歩く。
ここ数日雨が降って涼しかったが、また暑くなってきた。
雲の切れ間から日が出てくると途端に容赦なく照り付けてくる。
 
野原の広がる広場にはところどころこんもりとした大きな木々が立っていて
涼しげな木陰をつくってくれる。
遮るものなく自由に育ったという感じがして、
生い茂る葉の形作る傘の下にいると束の間いろんなことを忘れることができる。
 
その木々を伝って広場を横断する。
少し離れた向こうには大がかりな建て替え工事の続いていた
ごみ焼却場の白い煙突がまっすぐに聳え立っている。
2年ぐらいかかっただろうか。
 
つい数週間前に完成したようで、
それまではてっぺんをぐるりと作業用の足場が取り囲んで
高さが伸びていくのに合わせていたのが、
今は少しずつ下りながら皮を剥くように
その表面を覆っていた灰色のカバーをはがしていって、
生まれたてのきれいな真っ白な壁が
日々下へ下へと露わになっていっている。
そんなふうにしてお披露目するものなのか。
 
東京23区の清掃工場は定期的に内部の見学会を開催している。
入ってみたいが、当分は人気があって抽選も当たらないだろう。
 
青い空、白い雲、緑の木々。
日差し。時折吹き抜ける風。
広場を渡り終えて公園の真ん中を貫く大きな道を歩く。
木陰のベンチにお年寄りの夫婦が座って一息ついている。
売店の席に座って缶ビールを飲んで笑いあっているお年寄りたちもいた。
こんなに暑かったら幼稚園児が散歩することもないのだろう。
あとは買い物帰りの主婦が自転車で通り過ぎるぐらいか。
 
公園の入り口に差し掛かると清掃工場の煙突がとても大きく目の前に立つ。
コンクリートで覆われた小さな広場は階段状になっていて、
上った先にマットを敷いてドレッドヘアの若い男性が上半身裸で寝そべって
小さな音でレゲエを聞いていた。
この広場は土日は少年たちがスケボーやモトクロスを練習していて、
少し上の世代の若者がたまに助言をしているのを見かける。
 
この夏がこんなに暑いのもあと1週間か2週間ぐらいか。
返ってきて仕事に戻る。
午後一瞬だけ、バケツをひっくり返したような雨が。
こんな雨が増えると秋も近づいてくる。