先週買ったCD #7:2020/11/23-11/29

2020/11/24: diskunion.net
羅針盤 「むすび」 \1300
Prince 「Controversy」 \2400
Anatoly Vedernikov 「Stravinsky, Shostakovitch & Karentnikov」 \1100
(V.A.) 「This Record Belongs To________」 \880
 
2020/11/25: ヤフオク
Miami Sound Machine 「Primitive Love」 \3800
Popol Vuh 「Einsjager & Sibenjager」 \6000
 
2020/11/25: www.amazon.co.jp
High Rise 「Best of High Rise : Destination」 \1380
 
2020/11/25: www.hmv.co.jp
スガシカオ 「The Best Hits of Live Recordings - Thank You -」 (\440)
HMVのポイントで
 
2020/11/25: www.hmv.co.jp
Grace Jones 「Warm Leatherette 2CD Special Edition」 \3849
 
2020/11/26: www.amazon.co.jp
八代亜紀 「ベストアルバム 八代亜紀 ~舟唄~」 \1320
 
2020/11/27: www.amazon.co.jp
Ella jenkins 「Rhythms of Childhood」 \1500
 
2020/11/27: ヤフオク
フェイ・ウォン 「夢遊」 \2980
 
2020/11/28: DiskUnion 新宿中古館
(Soundtracks) 「太陽にほえろ! '78 走れ!翔べ!叫べ!不滅の七曲署」 \880
Speed, Glue and Shinki 「Speed, Glue and Shinki」 \1900
 
2020/11/28: DiskUnion 新宿セカンドハンズ店
Dick Lee 「The Mad Chainaman」 \480
 
2020/11/28: TowerRecords 新宿店
Billie Joe Armstrong 「No Fun Mondays」 \2530
Mano Negra 「In The Hell of Patchinko」 \2200
Pink Floyd 「Delicate Sound of Thunder」 \3300
(Soundtracks) 「破壊の日」 \3000 
 
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(V.A.) 「This Record Belongs To________」
 
ナマケモノにビーバー、モグラ、サル、バク、ダチョウ、小鳥という
森の仲間たちがカラフルな服を着て広場に集まって、地面には一台のレコードプレーヤー。
掲示板のように「This Record Belongs To:」と書かれていて、
その下には......「____________」と名前を書く欄が。
そんなかわいらしいジャケット。
このレコードは君のものだよ、名前を書いてね、ということか。
中を開くと絵本。
ある日、皆で森の中にいると茂みの端に黒くて薄い円盤を見つける。
ビーバーは食べ物だと思い、ナマケモノは帽子、サルはフリスビーだと。
しかしモグラがその鋭い爪で円盤の溝をなぞったら音が出て……、という内容。
そのサウンドトラックという趣旨のコンピレーション。
子供向けだけど、大人も楽しめる。2015年の作品。
 
メンツがなかなか振るってて、
キャロル・キング "One Was Johhny"
ポインター・シスターズ "Pinball Number Count"
ジェリー・ガルシア "Jenny Jenkins"
ニーナ・シモン "You Can Sing A Rainbow"
ドノヴァン "The Mandolin Man and His Secret" などなど。
最後には、セサミストリートに出てくるカエルのカーミットも一曲披露。
どの曲も遊び心があったり、子守歌のようであったりと心安らかな良曲ばかり。
思わぬ拾いものだった。
 
DiskUnion の解説に寄れば、
The White Stripes のジャック・ホワイトのレーベル、THIRD MAN RECORDS 
と LIGHT IN THE ATTIC の共同リリースとのこと。
でもCDのジャケットには特に THIRD MAN RECORDS の文字はなく、
Thanks To に”jack”とあるのみ。ジャック・ホワイトなのかどうか不明。
ちなみに、LIGHT IN THE ATTIC はリイシュー、コンピレーション専門のレーベルのようだ。
昨年見かけた、細野晴臣久石譲深町純清水靖晃らの楽曲を集めたこちらもそうだった。
「KANKYO ONGAKU: JAPANESE AMBIENT ENVIRONMENTAL & NEW AGE MUSIC 1980-90」
 
そう言えば子供向けのロックやジャズのアルバムってどういうのがあっただろうか。
The Free Design 「Sing For the Very Important People」
Medeski, Martin & Wood 「Let's Go Everywhere」
ぐらいしか手持ちでは思いつかなかった。
Vince Guaraldi Trio によるスヌーピーのサントラも入るかな。
でもそんなに多くはないような気がする。
嘘やごまかしがきかないから、なかなかつくれないんじゃないかと思う。
 
それまで全く知らなかったけど、今回聞いてみてよかったのは
エラ・ジェンキンスという方で、調べてみたらアメリカの Wikipedia にて
Ella Jenkins - "The First Lady of the Children's Folk Song" といった記載が。
子供向けフォークソングのファースト・レディ。
50年代からつい最近に至るまで活動し続けているようだ。今、96歳。
3年前にもアルバムを出している。
このコンピレーションに収録されていたのは
”Pretty Trees Around The World ”という曲で、
1963年の「Rhythms of Childhood」というアルバムに収録されていた。
Amazon で日本の古本屋からの出品が1,500円。
海外の業者からの出品が軒並み5,000円以上だったのでこれは買いじゃないかと。
ポチっと行ってみた。
 
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Miami Sound Machine 「Primitive Love」
 
11/22(日)夜。
ヤフオクで Miami Sound Machine『Primitive Love』SHM-CD紙ジャケを3,800円。
一週間前、出品された日にもう一人の方とやりあったが、その後現れず。
この日同じく Popol Vuh『一人の旅人と七人の旅人』のSHM-CD紙ジャケが6,000円。
こちらはやりすぎたか。
夕方まで最初に設定された2,200円から動かなかったのに。
ギリギリになって相手が出てきたらつい、過剰反応してしまった。
2枚で1万。どちらも入手困難でずっと探し続けていたから
今後も探し続ける、待ち続けるのもしんどいし、ボーナスも出るしと。
Popol Vuh のSHM-CD紙ジャケはなぜかこのアルバムだけが入手が難しかったんですよね。
出品者からは他のアルバムも出てたけど、大きく入札価格が動いたのはこのアルバムのみ。
 
Miami Sound Machine とそのヴォーカル、グロリア・エステファンを知ったのは
小学6年生の時に見た”東京音楽祭”の中継。1986年のこと。
小学校高学年のベストテン全盛時代に C-C-B が大好きで
(アニメ・特撮関係以外で、生まれて初めて買ってもらったカセットテープのアルバムが C-C-B だった)
この日彼らはトレードマークの赤や青に染めた髪を封印、黒に染め直して
”元気なブロークンハート”を演奏した。
オープニングが小泉今日子で”なんてったってアイドル”を歌った。
一番インパクトがあったのが、ヴォーカルがマウスピースを当てて
”ププププププー”とやった後で拳を振り上げて「ウォウ! ウォウ! ウオゥ!」と煽っていたグループ。
海外のバンドにははいろんなのがいるなー、と度肝を抜かされたが、
マウスピースだけを演奏で使用したのを見たのは後にも先にも彼らだけだった。
ポーランドの Lady Pank というグループらしい。曲は”Minus Zero”
探せば実家にこの時テレビをラジカセにつないで録音したテープが残ってるんじゃないかと思う。
 
このステージに出ていた海外の大御所が Shakatak と Miami Sound Machine で、
Miami Sound Machine は”Conga”を演奏。
グロリア・エステファンが”さあ、コンガを踊るのよ”と早口に繰り返すサビのフレーズと
ダンサブルでダイナミック、それでいて大人の落ち着きと色気のある演奏が心に残った。
ラテン系の曲を聞こうとしてちゃんと聞いたのはあれが初めてだったかもしれない。
一曲だけとはいえ大人数の圧巻のステージで、彼女たちはグランプリを獲得した。
 
もう一度その名前に出会ったのは上京してからで、
若気の至りで僕は一年生の一時期、大学の社交ダンスサークルに入っていた。
僕をかわいがってくれた先輩の家に遊びに行ったとき、
”岡やんはロックが好きなんだろ、俺が聞くのはこの人だけだな”と
CDを出してきたのがグロリア・エステファンだった。
先輩はタンゴやワルツといったモダンの方ではなく、
ルンバやチャチャチャといったラテンの方のダンサーだった。
 
時々そのことを思い出し、”Conga”が聞きたくなる。
昨年か一昨年か昔のアルバム「Primitive Love」を取り寄せた。
でも残念ながら音がよくなかった。くぐもってメリハリがない。
今から10年以上前に紙ジャケ・リマスター音源で再発されていたことをその後知って
入手しようとしたがなかなか出回らない。amazon でも在庫なし。
ようやく、前述の通りヤフオクで入手。単体で3,800円。
その先週、たまたま紙ジャケ3枚セットで出品されたが、
最後の方が12,000円を超えたので諦めていた。
 
マイアミというと日本でも放送された刑事ドラマの『マイアミ・バイス』や
ディズニー・リゾートで南国のゆったりした気候の場所をイメージするけど、
「Primitive Love」の頃にはマイアミを飛び出して全国的な人気を獲得しつつあった。
アルバムの前半はコンテンポラリーでコスモポリタンな、シンセばりばりのシティポップ。
昔懐かしい、僕らより上の世代なら心ときめく80年代ど真ん中の音。
後半に入って "Conga"などラテン・フレーヴァーの曲も増えるが、
あくまでフレーヴァーであって味付け程度。
Fania All Stars などニューヨークの本気のサルサを聞くと
これをラテンと呼んだら鼻で笑われそうな。
でも上り調子だったグループの一番いい時期を切り取っているので今聞いても古びていない。
この紙ジャケはボーナストラックに表題曲”Premitive Love” や ”Conga”、そしてもう1曲ヒットした
”Bad Boy”のダンスミックスが収録されている。
この延々繰り返されるビートもまた懐かしい。
 
なお、Lady Pank を調べてみるとその後も活動を続けて
2011年まではアルバムが出ていた。
買ってみようかな……
 
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High Rise 「Best of High Rise : Destination
 
割とマイナーなCDで、店頭在庫なし、とっくの昔に廃盤になっているのを
ネットで探したらひょっこり新品が見つかったりすることがある。
そんなとき、とてもうれしい。
 
先日そんなふうに出会ったのが、High Rise 「Tapes+」
日本が誇るヘヴィ轟音サイケデリックなグループの初期音源を集めたもの。
その名の通りカセット録音なのか
往年の King Crimson 「Earthbound」(近年オフィシャルに再発される前の)と
どっこいどっこいなぐらい音が悪かった。
でもこういう剥き出しでドシャメシャな音の嵐はくぐもった、ダンゴのような音がなぜか合うわけで。
(もちろん、クリアな音の方がありがたいけれど。
 例えば The Gun Club 再発2枚組のライヴはどれもラフでルーズでハイテンションな演奏なのに
 音が悪すぎてなかなか聞けない。少なくとも iPhone に入れて聞く類のものではない)
 
High Rise は「Live」1枚だけ持っていた。
学生時代に買ったんだと思う。でもそれっきり。20数年ぶりに聞いた。
ギター、ベース、ドラムの最小限のトリオにヴォーカル。
なのにこれでもかこれでもかと轟音を浴びせかけてくる。
裸のラリーズからフォーキーな抒情性を取り除いて、その分音の強度とスピードを増した感じ。
何も語らない抽象的な歌詞を呟くように、吐き捨てるように歌う陶酔したヴォーカルはよく似ている。
でも楽器の演奏は比較的テクニカルで。
特にベースは、ラリーズが同じフレーズをひたすら繰り返してヒプノティックだったのが
High Rise だとかなり動き回るというところが違う。
でも音の質感として、向かうベクトルはほぼ同じなのではないかと思う。
 
ベストアルバムがあると知って、amazon で中古をオーダーする。
スタジオの曲、ライヴの曲が入り乱れているんだけど、
やはりこういうバンドはライヴ音源の方がいいなー。
後先なく突っ走る破天荒な感じが出てくる。ダイレクトに脳髄揺さぶられるというか。
それでいくとグッと来たのは、「Tokyo Flashback」に収録されていた "MainLiner"と
未発表曲だった"Heavenly Power"と。
富士山大爆発で高圧電流の雪崩。即死。
 
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八代亜紀 「ベストアルバム 八代亜紀 ~舟唄~」
 
去年、阿久悠の曲を集めた2枚組というのを買った。演歌とポップスと。
こういうのは家で聞くとか iPhone に入れて散歩しながら聞くとかではなくて
ドライブで妻と聞くのがいいかなと思っていたらこのご時世でなかなか聞けずにいて、
先日の南房総の温泉宿に泊まったときにようやく。
都はるみ石川さゆりも入ってるんだけど
この中で断トツにいいのは八代亜紀だなということで妻と意見が一致する。
収録されていたのは「雨の慕情」と「舟唄」の2曲。
”トラック野郎のマドンナ”と呼ばれるのがなんとなく分かった気がした。
遠くに向かう車の中で聞くとなんかとてもしっくりくる。
低いけど奥行きのある声で、見通しがいいのだろう。
 
一枚、アルバムを聞いてみるかなと思って amazon で探してみると
ベストアルバムばかりで、しかも2枚組に目いっぱい詰め込んだのばかりで
ちょうどいいのがないんですよね。
ビギナーなので聞きたいのは代表曲中の代表曲だけなのに。
八代亜紀の場合は近年のジャズヴォーカルものも”アルバム”としてありますが……)
 
これを僕はここ数年、”ピンク・レディー問題”と呼んでいた。
二昔、三昔前だとアルバム単位で聞くのではなくヒット曲単位なので
どうしてもそれを集めたベストアルバムとなってしまう。
しかもたくさん収録された方がお得となる。
そういうのが懐メロとしてある程度売れるので
次から次に新しい、似たり寄ったりなのが世に出てくることになる。
スパイダースを聞いてみたいと思った時もそうだったな。
こんなにいらないのにな、このおまけのカラオケとかいらないのにな、という。
(そう言えば上記の阿久悠のオムニバス、ピンク・レディーが入っていなかった。
 歌詞は阿久悠なのに。権利関係が難しいのか)
 
まあ、CDで買わずに Spotify で聞けよって話ですが。
しかも iPhone にはアルバム単位で入れたいというどうしようもないこだわりがあって……
こんなの僕だけだろうな。
 
そんなときに出会ったのがこのベスト7曲入りで1,200円。これだよこれ!
以前ビクターからシリーズで何組か出たようだ。
同じ古本屋から八代亜紀ピンク・レディーのが新品で出品されていて、
前者は1,320円と値上がり、後者は718円と値下がり。そういうものか。
 
八代亜紀の方の7曲は
「舟唄」「なみだ恋」「もう一度逢いたい」「花(ブーケ)束」「雨の慕情」「おんな港町」「愛の終着駅」
うーむ、やはり阿久悠先生の「舟唄」「雨の慕情」が群を抜いていい。
小さい頃から聞きすぎて身体の奥まで刷り込まれているからかもしれない。
なんかね、とにかく沁みるんですよね。
一見田舎くさい、泥くさい、場末の裏寂れた声のようでいて純度が高く混じりけがない。
女の情念を歌ってもドロドロしすぎない。あとくされがない。
陰で待ってるであって、なりふり構わずすがりついたりしない。
あなたとずっと一緒にいたいなんて、決して願わない。
ただ、目の前のあなたを想うだけ。
そんなディスタンスの取り方が、トラック野郎という流れ者にはちょうどいいのだろう。
 
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芸人で誰が好きですか? と聞かれたらヒロシと答える。
昨年本が出た時もわざわざ新宿の紀伊国屋書店に行ってサイン入りを買った。
もちろん僕のために書いたサインでもなんでもなくて、依頼されて何十冊と書いたやっつけ仕事ですが。
何が面白いのかというと、”ヒロシです。”のあのネタが好きというのもあるんだけど、
それ以前に暗さ、ひねくれ方、世の中に対するスタンスが似てるんだと思う。
そんなわけで、シーズン2が始まったBS-TBSの『ぼっちキャンプ』も欠かさず見ている。
 
冒頭、キャンプ場に向かうヒロシが車を運転する場面で流れる曲が素晴らしく、
いつもいいなあと思いながら聞いていた。
そこはかとない寂寥をアコースティックギター一本で淡々と歌う。
開拓地の男にとっての斧、みたいな感じのギター。
深夜23時、BS、自然の中に入っていく番組にぴったりと合う。
調べてみたら Pearl Jam のヴォーカル、エディ・ヴェダーのソロだった。不覚。
あんまりソロで活動しないですからね。
 
『Into the Wild』という映画のサントラで、
ショーン・ペンが監督してるからという理由で見に行った覚えがある。
裕福な家庭に育って優秀な大学を出て、何の不自由もないのに
全てを投げ捨ててアラスカに一人移住し、自然の奥深くに向おうとしてやがて死を迎える。
amazon でサントラの国内盤を探してみたらけっこうな値段になっていた。
うーん、そうか、残念と思いながら念のため試しにCDラックを探してみたら、……あった。
すごいな、オレ。たまにはそういうこともある。
でもサントラは『ぼっちキャンプ』に使われている最後の「Guaranteed」以外の曲は今一つだった。
 
そんなわけで、Pearl Jam はそんなに詳しくはない。
アルバムはほぼ全部持ってると思う。だけど買ったら一度聞いてだいたい終わり。
経緯は払うが、愛着はない。
iPhone に入れてよく聞くのは「No Code」と、ニール・ヤングのバックで演奏した「Mirror Ball」だけ。
 
1992年から1994年にかけて、グランジブーム全盛の頃は
ロックの雑誌を読むと Nirvana の対抗馬は Pearl Jam ということになっていた。
若い頃はそれがよくわからなかった。
ハードだけど普通のバンド。一言で言うと”中庸”
尖ったところがないバンドだと思っていた。
でも今思うと、”中庸”というのは何もせず当たり障りないことではなく、
むしろ積極的に勝ち取っていくものなんですよね。柔よく剛を制すに通じるような。
どこにも属せず、与せず、自らの道を貫いて無駄な争いは避ける。
しかし、余りにも正義にもとる行為があるならばその刃を抜く。
チケットマスターとの泥沼の戦いのような……
そんな孤高の姿勢だったからこそ全米を代表するバンドへと大きくなっていったのだろう。
R.E.M. と並んで、尊敬という言葉が似合う。
 
この「MTV Unplugged」は1992年なのでファーストアルバムを出した後か。
"Alive", "Jeremy", "Even FLow"といった代表曲ばかりで7曲、36分と短いけど物足りなさは感じない。
その膨大すぎるほどの熱量で充分クラクラする。聞いててずっしり重たいものが残る。
重いけど、鋭い。研ぎ澄まされている。
血気盛んな若者たちが半裸で斧を研いでいるような。
なんでこんなすごい音源をずっと隠していたんだろう。
リアルタイムに出ていたら高校生の僕は Pearl Jam に心奪われていたと思う。
 
アンプラグドなのでギターはアコースティック。
しかしベースとドラム、エディ・ヴェダーのヴォーカルは遠慮せずそれまで通り。
グランジの本質は歪んだギターと性急なリズムではなく、
ある種の重心の低さなんだなということがよくわかる。
 
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Billie Joe Armstrong 「No Fun Mondays」
 
世界的なコロナ禍で今年、
生で音楽を演奏する、音楽を聞くという行為に対し大きな制約が生まれた。
春先から公演は軒並みキャンセルとなり、夏にかけて徐々に再開したとしても、
客席の利用を半分以下にするなど様々な感染対策が求められた。
そんな状況下においてミュージシャンたちは新しい活動形態を模索、適応していく。
6月、サザンオールスターズ横浜アリーナでの無観客コンサートは圧巻だった。
こんな早い時期に実現できたサザンってやっぱすごいな。
ドリカムは今年後半『DOSCO prime』ツアーだったのが、
さいたまスーパーアリーナ大阪城ホールなど本来この会場でやるはずだった編を毎週、ニコ生で配信。
事前収録の演奏やダンスの映像と生のMCをスタジオで組み合わせるスタイルを編み出す。
海外でも4月半ばというかなり早い時期に『One Home : Together At Home』という配信コンサートが。
 
一番グッと来たのはイタリアの話。
人前での演奏・歌唱が自粛となってオペラ歌手やその卵たちも歌う機会がない。
一方、一般市民たちも家に閉じこもる毎日で音楽を聞く機会がない。
そんなとき、ある歌手がマンションのベランダでオペラを歌い始めたら
別のマンションに住んでいた歌手がベランダに出てそれに応えたという。
 
ステイホーム期間中に一人で演奏して配信するアーティストも多かった。
その代表的なところは星野源の「うちで踊ろう」であって、
多くの有名無名のミュージシャンたちがそれぞれコラボレーションの動画をつなげていった。
海外のミュージシャンも一人で演奏する動画の配信を行った。
毎週1曲ずつカバーをインスタグラムで発表したとのこと。
このアルバムはその楽曲を集めたもので、ビリーが身近な仲間たちとDIYで収録している。
 
Bangles "Manic Monday"(ギターでスザンナ・ホフスが参加しているようだ)
Fountains of Wayne "That Thing You Do !"
ジョニ―・サンダース "You Can't Put Your Arms Around A Memory"
ジョン・レノン "Gimme Some Truth"(このタイトルで最近ベストアルバム出ましたね)
The Clash ”Police On My Back”
Billy Bragg "A New England"
など。
 
どれを聞いてもビリー・ジョーそのもので、明るい前向きなパンク。
自分を信じて、仲間を信じて、明日を信じてという。
彼の歌声を聞いていると元気になる。
その彼もただポジティヴな人ではなく、
「Uno!」「Dos!」「Tre!」の三部作を出した人気絶頂の頃に薬物中毒で暴れて
活動休止を余儀なくされたり、自分の弱さをよく知っている。
その時支えてくれた家族や友人がいるから、海の向こうで待っているファンがいるから、
音楽を演奏すること、配信すること、それを定期的に行うことで応えたかったのだろう。
 
そういえば、コロナ禍で発売が延期となったアルバムもいくつかあった。
Weezer 「Van Weezer」は残念だった。
Weezer が正面切ってハードロックをやるという。
Van はもちろん、Van Halen に敬意を表してのものであって。
発売日未定のまま2020年が過ぎゆく中で、エディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなってしまった。
Green Day は今年、その Van Halen と全米ツアーを回ることになっていたという。