練馬区小さな旅

成人の日の3連休初日。
予定もなく、いつもなら車でどこかに行ったんだろうけど緊急事態宣言が出た翌日。
とはいえ天気が良く日差しが温かい。
せめて近くをと、妻と散歩に出た。
 
先日も初詣に行った八幡宮まで歩く。
その脇から小道が伸びていて練馬区で管理している憩いの森へ。
なだらかな丘を登る。狭い道は膝ぐらいの背の低い柵が続いている。
この一帯はカタクリの咲くことで知られていて、ところどころそのスポットがある。
足を踏み入れないように、ということで囲われている。
登り切った先が北向きの高台になっていて、住宅街を見下ろした。
古くからのようで木造の、小さな色あせた家が多かった。
いくつかは雨戸が閉じられ、既に誰も住んでいないようだった。
屋上のある家では物干し台を並べて洗濯物を干していた。
 
元は稲荷神社の鎮守の森だったのか、鳥居が何か所かあった。
下りていくと小さな池に丸々と太った鯉が泳いでいた。
また登り直す。横に細長い森で、木立の間をしばらく歩くと反対端に出た。
坂道を下る。白子川に出た。川に沿って小さな遊歩道が続く。
ひっそりとしたアンティークショップが道端に椅子やがらくたを並べている。
川は鴨のつがいがのんびり泳いでいた。
 
少し行くともう一つの憩いの森に出る。
こちらも柵に囲われた散歩道にベンチと整備されている。
急なアップダウンが多い。
いくつかの扉に鍵がかかっていて、真ん中の広いエリアには入れないようになっていた。
コロナだろうかと思うと違っていて、カタクリの咲く3月末から開けるのだという。
そうか、春になったらまた来てみるかと思う。
 
小さな祠があった。その前に立札が立てられていた。
「禅海法師 伝説の行人塚」と書かれていた。
「別荘橋のたもと、白子川に面したところに一つの洞窟があった。
 この洞窟に、いつの頃か一人の僧がやってきて住み着くようになった。」
と始まって、由来が説明されていた。
この禅海法師とは真言密教の行僧で、薬師如来の仏像を背負って現れたのだという。
 
出口に案内図があった。
この森はカタクリの群生地にして、東京の名湧水57選にも選ばれたとあった。
この近くに図書館があって、妻に頼まれて一度来た覚えがある。
ここから10分も歩かないうちに土支田通りに出て、
いつも買い物に来るライフがある。買い物をして帰る。
よく晴れた冬の午後、練馬区の小さな旅となった。