先週買ったCD #13:2021/01/04-2021/01/10

2020/01/05: www.amazon.co.jp
GreeeeN 「いままでのA面、B面ですと!?」 \300
 
2020/01/07: www.hmv.co.jp
Superfly 「Wildflower & Cover Songs」 \550
Superfly 「White」 \550
 
2020/01/07: diskunion.net
The Tony Rice Unit 「Mar West」 \3251
(V.A.) 「Future Sounds of Jazz 13」 \1300
Nu Guinea 「Nuova Napoli」 \1100
 
2020/01/09: diskunion.net
The Pretenders 「Learning To Crawl Deluxe Special Edition」 \1700
The Pretenders 「Get Close Deluxe Special Edition」 \1500

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Superfly 「Wildflower & Cover Songs」
 
年末の紅白で改めて思ったのは、朝ドラの主題歌ってやっぱいいなと。
GreeeeN ”星影のエール”と去年だと Superfly ”フレア”
Superfly は今年、活動初期の頃の ”愛をこめて花束を”を、オーケストラをバックで。
今更ながら Superfly っていいなと思った。
デビュー当時話題になったとき、2作目の「Box Emotions」を買ったんだけどすぐ売ってしまった。
ロック寄りの J-POP? ありきたりだなと。今となっては後悔。
 
”フレア”を歌い終えた直後に amazon で最新作の「O」を購入。
その後気になって過去のカタログを見ていた時に
”Wildflower”初回限定盤の2枚目が
シングルの3曲目に収録した洋楽のカバーを集めたものと知って、HMVのサイトで中古を安く入手。
Aretha Franklin ”(You Make Me Feel Like) A Natural Woman”
Humble Pie ”Hot & Nasty” 
Fleetwood Mac ”Rhiannon”
Neil Young ”Heart of Gold”
Eagles ”Desperado” など。
他も60年代、70年代の英米ロックの名曲ばかり。しかも泥臭い系。
奇をてらわないストレートな選曲。
ああ、この辺りがベースにある人たちなんだなとわかりやすい。
 
しかし聞いてて気分が盛り上がらず。
シングルの3曲目として発表してきた楽曲という性質上、寄せ集め感があって。
録音された時期もメンバーもアレンジの雰囲気も異なる。
アコースティックなアレンジで統一するとか、ライヴの1ステージを丸々収録する、
ということができたらかなりグッと来たと思う。
個人的にはラストのトラディショナル、”The Water Is Wide” の清廉な雰囲気で押してほしかった。
湯川汐音もそうだけど、この曲のまっすぐなカバーはハズレがないんですよね。
 
日本人の洋楽カバーアルバムってなかなか難しい。
しかも一人の歌手、一組のバンドがアルバム全体を洋楽のカバーで、というのが。
どんな好きなアーティストであっても、
鬼束ちひろ「Famous Microphone」や山崎まさよし「COVER ALL YO!」はイマイチだった。
まんまコピーだとつまらないし、
アーティストに寄せすぎると洋楽をカバーする意味って? となる。
距離感が難しい。
究極的には日本人のあなたにとって日本って何? と問われているようなもの。
Superfly のこのアルバムも”好きな曲なのでやりました”以上でも以下でもないんですよね……
 
なので1枚目の4曲入りシングルの方が普通に良かった。
タマシイレボリューション”がとにかくアガる。
2010年のワールドカップの時、NHKでひたすらかかってたな。
60年代・70年代の洋楽のパワーとソウルを今の日本にぶつけると? という曲だった。
 
付記:
洋楽カバーアルバムでよかったのを挙げてみると
Bo Gumbos 解散前のライヴアルバム「The Jungle Beat Goes on」かな。
ナイジェリアのフェラ・クティトリニダード・トバゴのマイティ・スパロウ、
ジャマイカの Toots & The Maytals やアメリカの Sly & The Family Stone らの曲と並んで
日本も海外もない、ワールド・ミュージックなんてものもない、
あるなら地球上の全ての音楽がワールド・ミュージックだという勢いでどんと来いのごった煮。
あらゆる音楽にリスペクトを。
 
もうひとつ、付記:
合わせて買ったひとつ前のアルバム「WHITE」の初回盤2枚目が邦楽カバー集。
”スローバラード”がびっくりするぐらいよかった。この人ほんとに歌のうまいんだなと痛感した。
こんな気高い”スローバラード”初めて聞いた。
ギターは中井戸麗一。
 
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GreeeeN 「いままでのA面、B面ですと!?」
 
この前の紅白は他の出演者の出番の時に駆り出されて
無理のある賑やかしをやらされるということがなく、
歌を聞かせるということに徹していてよかった。
かといって僕らが子供の頃そうだったように、ただ出てきて歌うのではなく
あれこれと趣向が凝らされていた。
GreeeeNもメンバー4人が登場して歌っていた。アバターだったけど。
あれって個々のメンバーに似てたのかな。どうだったんだろう。
 
2作目・3作目の頃かな、GreeeeN が話題になって
現役歯科医、顔出ししないというのが面白く、
2枚組のベストアルバムを買ってみた。正確にはシングル集か。
今から10年以上前。
聞いてみてピンと来なくてこちらもすぐ売ってしまった。
なんだこの前向きな応援ソングはと。
一点の曇りもなく輝いていてまともに見ていられなかった。
 
とはいえ”愛唄”や”キセキ”が良い曲であることに異論はなく、
こういうのって iPhone に入れて聞くというよりもドライブにいいかもなと
結婚した5年ぐらい前、中古で買い直そうとしたら案外値段が高い。
2,000円から下がらない。
それがこの前の紅白の後見てみたら、300円で買えた。
数年前に別のシングル集が発売されたからか。
 
40過ぎて、何の衒いもなく励ましてくれる曲も素直に聞けるようになった。
正直、このA面・B面ベストを聞き直してみてもほとんどの曲が同じに聞こえる。
でもあの雰囲気がいいんだな。
一聴してすぐわかる GreeeeN 節というかコーラスワークというか。
それとあのとぼけたユーモアと。
シニカルにはならず、近所の気のいいあんちゃんみたいな。
2枚目でもなく3枚目でもなく、この2.5枚目感にホッとする。
このロックでもなくヒップホップでもない音にフィットする。
 
音とキャラクターのブランドづくりに成功したということなんだけど、
誰か仕掛け人がいるのか、それともメンバーやスタッフの試行錯誤なのか。
トラックは中心メンバー HIDE のお兄さん、JIN が手掛けるみたいですね。
方向性の多くは自分たちで考えたことなんだろうけど、
それが専業のミュージシャンではなく
今も4人とも歯科医であり続けるというところが相変わらず面白い。
いつか顔を出すことや歯科医をやめることはあるのかな。
引退後もこのままであってほしいな。
 
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The Pretenders 「Get Close Deluxe Special Edition」
 
10年以上昔、知人のつてで音楽ライターの仕事をもらったものの
担当者のメールがその時に限って迷惑メールのフォルダに行ってしまったりで連絡が取れずと
いろんなことがうまくいかなくてそれっきり。
再発アルバム紹介の短文、一件2000円ほどで7・8本あっただろうか。
こじれてしまって採用されず、振り込みもされてなかったかもしれない。
少なくとも次の依頼はなかった。
その時に分担が回ってきたのが、Frankie Goes To Hollywood とThe Pretenders だった。
FGTH はさすがに今、聞かず。
The Pretenders を聞くたびにあの時のことを思い出して少しブルーな気持ちになる。
 
それはさておき。
RHINO から2015年に出ていた
The Pretenders のリマスター2枚組デラックスエディションの存在を知ったのが昨年のことで
amazon でもプレミア。DiskUnionで中古で出るたびに少しずつ買い揃えてきた。
今回、3作目 「Learning To Crawl 」と4作目「Get Close」を合わせて購入することができた。
誰かまとめて売った人がいるのだろう。
 
The Pretenders はジョーン・ジェットやスージー・クアトロらと並ぶロックお姐、
クリッシー・ハインドのバンド、のちにユニット。
アメリカで生まれ育ったが、1977年のパンク勃発を前にイギリスに渡った。
当初はパーマネントなメンバーが切磋琢磨するバンドを目指していたと思うんだけど
ドラッグや意見の相違で次々にメンバーを失って
紅一点のヴォーカル、ギターのクリッシー・ハインド以外は流動的になってしまった。
調べてみたら2005年、ロックの殿堂入りを果たしている。
ちなみに余談ながらクリッシー・ハインドはThe Kinks のレイ・デイヴィスや
Simple MInds のジム・カーと結婚していたことがある。長くは続かなかったが……
 
The Pretenders の代表作はセルフタイトルの1作目か、3作目とされる。
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム。
1作目は骨と皮だけの無駄のないソリッドなロックンロール。
最初の作品を出すという初々しさと世界を変えるんだという期待、
根性入ったずぶとさがないまぜになったような。
The WhoThe Kinks の1作目ってこうだったよなということを思い出させる。
3作目はギターとベースの予期せぬメンバーチェンジを経て立て直したのちの1枚。
The Pretenders の音としてはここがやはりピークか。
勢いと気概があってギターロックかくあるべしというような。
冒頭の2曲”Middle of the Road” ”Back on the Chain Gang” でガツンとやって、
最後のクリスマスソング ”2000 Miles”で静かな余韻を残して終わる。
デラックスエディション2枚目のライヴやデモのトラックまで漲っている。
僕も彼女たちの代表作はこの3作目だと思う。
 
4作目の「Get Close」は評論家筋からの受けは良くないようで。
ドラムが去って結成以来のメンバーはクリッシー・ハインドだけになってしまった。
プロデューサーはとにかく音がいいボブ・クリアマウンテンと
先日読み終えた『誰が音楽をタダにした?』でも切れ者と称されたジミー・アイオヴィン。
売れ線向けになったとされ、確かにデラックスエディションの2枚目も
時代を反映して何曲かいわゆる extended version が収録されている。
3作目の張りつめた緊張感は失われ、どこかゆるい。隙がある。
その分、酸いも甘いも嚙み分た大人のロッカーの階段を上り始めた一歩、
みたいな独特な魅力があって。
果物は腐りかけがうまい、というような。
実際、この後のアルバム「Packed!」や「Viva El Amor」はつまらない。
 
何よりもポップとロックの間のギリギリのところをうまく突いて
全英トップ10入りしたシングル ”Don’t Get Me Wrong” はこのアルバム。
このタイミングでないと生まれなかった名曲。
朝の情報番組で使われていたので覚えている人も多いと思う。
 
ジャケットもこのアルバムが一番かっこいい。
白いバックに黒いスーツを着たクリッシー・ハインドが青いギターを抱えて
身をよじりながら力いっぱい立っている。
ギターが大きな音でジャキーンと鳴っているのが聞こえてくるかのよう。
 
なお、2枚目の曲目を見て知ったことですが、
007 の『リビング・デイライツ』に曲を提供していたんですね。
このときの主題歌は A-Ha で、エンディングテーマは The Pretenders とのこと。