先週買ったCD #16:2021/01/25-2021/01/31

2021/01/25: www.amazon.co.jp
OOHYO 「Silence」 \1790
NoMeansNo 「0 + 2 = 1」 \2598
 
2021/01/26: ヤフオク
Urban Dance Squad 「Persona Non Grata +Chicago Live 1995!」 \1800
 
2021/01/26: diskunion.net
X JapanBlue Blood」 \5451
 
2021/01/26: tower.jp
Oneohtrix Point Never 「Magic Oneohtrix Point Never」 (\2420)
タワレコのポイントで
 
2021/01/27: www.amazon.co.jp
Urban Dance Squad 「Life 'N' Perspectives of A Genuine Crossover + Live in Tokyo, Japan (1992)」 \1006
 
2021/01/28: diskunion.net
大森靖子 「絶対彼女 feat. 道重さゆみ」 \1000
 
2021/01/29: diskunion.net
大森靖子 「kitixxxgaia」 \1200
The Birthday Party 「Junkyard」 \780
Jerry Garcia Band 「Let It Rock」 \3650
 
2021/01/29: TowerRecords 光が丘店
Weezer 「OK Human」 \2178
Jimi Hendrix 「Live At Woodstock (1-CD Cut-Down Version)」 \1859
 
2021/01/31: diskunion.net
Oneohtrix Point Never 「Age Of」 \880
 
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Jimi Hendrix 「Live At Woodstock (1-CD Cut-Down Version)」
 
ロックギター最高のレジェンド。
彼以上にロックギターの可能性を引き出した人はいない。
ジミヘンは大好きで iPhone にも
「Electric Ladyland」や「Live at Monterey」「Blues」など主なアルバムは
一通り入っているんだけど、一番好きなのは
「Band of Gypsys」や「Live At Woodstock」だったりする。地味で変かな。
(ちなみに、スピリッツに連載されていた漫画の『じみへん』も好きだった)
 
「Band of Gypsys」は若くして亡くなるその晩年、
ソウルやファンクを取り込んで、ジミヘンとしか呼びようのない音楽をつくろうとした、
その可能性の広がりを感じさせるから。
 
この「Live At Woodstock」はその名の通りロック史上もっとも有名なフェス、
1969年のウッドストックでのライヴ。
2日間に及ぶコンサートの大トリとして出演。
真夜中、やがて夜も明けようとした頃にステージに登場して、
最初は疲れた観客を前にして焦点のはっきりしない演奏だったのが
後半徐々にテンションが上がってきてギアが”入る”瞬間がある。
そしてあの”星条旗よ永遠なれ”の独奏へとなだれ込む。
U2「Rattle &Hum」でも引用されていたり、
ロックファンなら一度は聞いたことがあるだろう。
もしかしたら今回のアメリカ大統領選挙でも
あちこちのテレビ番組やイベントで使われていたんじゃないか。
 
2枚組の2枚目。
”Isabella” ”Fire” ”Voodoo Child”と定番の曲でレッドゾーンを振り切って
星条旗よ永遠なれ”に入っていく場面、
あれはいつ聞いてもゾクゾクする。
1枚目の、ジミヘンにしては並クラスの平凡な演奏を我慢して聞いた後に
ようやくここまでたどり着くとなおさら感動する。
 
しかしこの1枚目が長くてなかなか聞く気になれないのが正直なところで。
ハイライトだけ編集盤がないかなと思っていたらなんと2019年に出ていた。
ライヴアルバムって元々は1枚組だったのが
完全版ということで2枚組で再発されると嬉しいものだけど、
その逆ってなかなかない。
 
1枚目からは冒頭のイントロダクションと”Message To Love”だけで
以後の曲(”Spanish Castle Magic”など)は全部カット。
そして2枚目の曲はそのまま収録という形。
そうそう、やるなら絶対そうだよ!
 
自分でそういうプレイリストを作るでもいいんだけど、
たぶん歓声がつながらなくて違和感が出てくる。
この編集版だとそういうこともない。
 
概してこの「Live At Woodstock」は評判がよくないんだけど、
これまで敬遠してきた人はぜひこの1枚ものを聞いてみてほしい。
印象が変わる。
いいとこどり、というのもたまにはいい。
 
余談ながら、神保町の讃岐うどんの名店”丸香”はBGMがジミヘンのみ。
うどんなので一杯食べる間に聞けるのは1曲か2曲。
でもあの店で聞くジミヘンもいいんですよね。
 
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OOHYO 「Silence」
 
いわゆるK-POPとは別の、
韓国のロックやその周辺の音楽ってどうなんだろう、と気になってきた。
だけどなかなか情報が得られない。
韓国ロックのガイドブックみたいな本も(僕の知る限り)ない。
というかアジアのロック全般というのもないが。
詳しい人はいても、本にして売れるほどのニーズはないのだろう。
 
一番参考になるのが、DiskUnionが年末に出す年間ベストの冊子
『今すぐ聴いてほしい』のシリーズ、そのワールド・ミュージックのページ。
残念ながら2020年は紙媒体はなし、WEB公開のみとなった。
衆道徳という匿名のローファイ宅録アーティストのことはここで知った。
The Beach Boys 「Pet Sounds」の再来かと思うぐらいのキラキラ感があった。
こんな言葉は安易に使いたくないが、
ヘッドホンの向こうで奇跡が起きているとすら思った。
 
OOHYO のことは音楽イベントを多く手掛けてきた友人のfacebook の投稿で知った。
ウヒョと読むようだ。
やはり多くのことはわからない。
ジャケットの写真を見ると育ちの良い知的な女性に思える。
タワレコのアーティスト紹介を読んだら
韓国生まれ、米国育ち、英国在住とあった。
(母国を離れて英国で活動というところに、
 昨年話題になった Rina Sawayama を思い出した)
 
シンセポップ系のシンガーソングライター。
音は日本の80年代のシティ・ポップ和製AORに影響を受けたと思われる。
大瀧詠一山下達郎といった。
直接聞いたというよりも、影響を受けた音を聞いた、なのかもしれない。
韓国のミュージシャンの間でシティ・ポップの人気が高いという記事を読んだことがある。
ジャケットからして絶対オマージュしてるだろうと思われる
Bronze「East Shore」というアルバムでも OOHYO は1曲歌っていた。
 
僕が持っているのは
2015年の「Adventure」と2019年の「怒った都市から遠く」の2枚。
耳にこびりつく超絶名曲というのはないが、
手触りがよくて何度も飽きずに聞いてしまう。
ほどがよく、奥行きがある。
ふわふわとドリーミーなのに
ひんやりとしたリアルな壁や地面の存在を聞く者の背中や足の裏に感じさせる。
特異な才能だと思う。
歌詞や曲名は半分ハングルで半分英語。
曲名は”Naive”や”Pizza”など。
簡単な言葉で深いことをさらりと言う、というタイプなのだろう。
 
昨年10月、4曲入りのシングルを出していたのを知って、取り寄せる。
ブックレットにこんなことを書いていた。
(韓国語を英語にしたものの重訳なのでニュアンスが違うかもしれない)
――――――――――――――――――――――――――――――
こんにちは、ウヒョです。このアルバムで私は、
この常に変わりゆく世界に振り落とされないための戦いについて語っています。
その世界は私たちが今住んでいる”ポスト真実”の時代を形作る、
全ての混沌と混乱の真っ只中にあります。
一人の人間のなしえる最も賢いことは時として、
自分自身に関する厳しい真実に対してまっすぐに向き合うことです。
なのに多くの物事は、私たちの中の最も深い部分にあるいくつかの欲求と欠点に
自分というものを見出そうとする行為、そこから視線を逸らせようとします。
私はこのアルバムが、最も小さく、最も静かで、最も単純な真実を見つけようとしている
全ての人を励ますことができたらと願います。
その真実とは、人生の中で私たちを成長させ、自由にしてくれるものです。
どうかこれらの”真実”が、物質至上主義者の価値観では実現できない方法で
私たちを導き、満たしてくれますように。
――――――――――――――――――――――――――――――
コロナ禍のことかもしれないし、アメリカの大統領選挙のことかもしれない。
個人的なことかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
 
4曲とも英語のタイトル、英語の歌詞。
シリアルさが音に増した。
シンセが主体なのは変わらず、
ギター、ベース、ドラムが加わってより肉体性が増している。
ジャケットの黒一色に赤でタイトルだけというイメージもあるけど、
これまで以上にダーク。
そして物悲しい。
 
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Oneohtrix Point Never 「Magic Oneohtrix Point Never」
 
新譜出てたな、と気づきつつもすぐには買わず。
晦日の昼、練馬駅近くの店におせちを取りに車で行った。
なんとはなしに InterFM にしたら BEAMS の提供する MIXTAPE の番組があって、
そこで流れていた曲がどれも翳りを帯びた、時空を歪めた雰囲気があった。
中世の教会で演奏された讃美歌を手回しオルガンで弾いて、
録音したテープを逆回転して速度を遅くしたような。
その中の一曲が引っかかって Radiko でオンエア曲を見てみたら
Oneohtrix Point Never の新譜からの「IMAGO」という曲だった。
なるほど、今はこういう音なんだな。
1月も終わりに近づいてようやく入手。
これはリアルタイムに聞いていたら2020年のベスト10に入れてたな。
帯の解説を読むと架空のラジオ局というコンセプトのようだ。
 
エレクトリックでポップなダンスミュージックにもなれば、
Nurse With Wound 直系の荒涼とした不気味なサウンドコラージュにもなる。
こういうつかみどころのない音が多くの人の心を捉える、というのが不思議。
しかも本国アメリカでは全然違うジャンルのミュージシャンの心を。
有名なところではAntony & the Johnsons のアノーニや
(先日のグラミー賞のノミネートで完全無視されたのが話題となった)The Weeknd の
プロデュースを手掛けている。
2018年のミニアルバム「Love In The Time Of Lexapro」では
坂本龍一教授によるリミックスが収録されていた。
2017年に手掛けた映画『Good Time』のサントラは
カンヌ国際映画祭サウンドトラック賞を受賞している。
今最も多彩で多忙な才人の一人。
 
今作「Magic」と合わせて
改めて「Love In The Time Of Lexapro」と「Good Time」を聞き直してみた。
それぞれ全体的なトーンは異なり、アルバムの中でも曲の方向性はバラバラ。
なのにすっきりとした統一感がある。
ミステリアスなのに実にあっけらかんとしている。
全曲アーティストの異なるサントラ3作を一人きりでカバーしているような感じ。
 
反復してはずらされ、の繰り返し。
波長や位相が取り留めなく脈絡なく絶えず切り替わっていく。
本当の意味で夢を見ているかのよう。
こういう音楽だけが一日中流れているラジオ局があったら
気持ちよさそうで、少しずつ気が狂いそうで。
一人の人間の頭の中の、絶えずいろんなことに注意や関心が移っていく様を
如実に再現している。
美しいものも恐ろしいものも、言葉になるものもならないものも、
分け隔てなく浮かんでは消えていく。
そんなうたかた、うつろいのアルバム。
百年後、五百年後の人類がこの時代の人間のことを知ろうとして聞くアルバムは
案外こういうのかもしれない。
 
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Urban Dance Squad 「Life 'N' Perspectives of A Genuine Crossover + Live in Tokyo, Japan (1992)」
 
以前別件で書いたことなんだけど、
とある日本のミクスチャー系ロックバンドの名前が思い出せず。
Rockin’on のレビューで書かれていたことを覚えている、
その号のレビューで最初に合評として取り上げられていたのは確か
Urban Dance Squad 「Life 'N' Perspectives of A Genuine Crossover」だったと。
 
懐かしくなって後日、amazon で取り寄せる。
リマスターされていて、しかも日本でのライヴを収録したCDがおまけについている。
それで1,000円ちょっと。安かった。
1991年の作品。Rockin’on の合評で見かけて、買いはしなかったけど、
青森市レンタルCD屋にあったので借りてダビングした。
当時全くよさがわからなかった。
ヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、DJという5人組。
その頃流行りだしていたミクスチャーロックの最新系がオランダから突如登場、
しかもメンバーにはDJもいると。
今でこそ、Slipknot であったりメンバーにDJのいるロックバンドは珍しいものではなくなったけど、
当時は何それ? というもので。僕みたいな田舎の高校生には違和感があった。
Neds Atomic Dustbin というバンドがギターは一人なのにベースは二人いる、
みたいな破れかぶれな新機軸、話題づくりのひとつ、ぐらいに思っていた。
ギター強めのノリのいいラップロックかな、という感じで特に耳に残らなかった。
あの頃はほんと、わかってなかった。
その次のアルバム 1994年の「Persona Non Grata」までは国内盤が出てたようだけど、
そこから先は忘れられていった。
 
音のいいリマスター盤を音量を上げて聞いてみて、
これ、今でもかなりいけんじゃん! と。興奮。
この手のスタイルは出尽くした。飽きられた。
なのに今聞いても新鮮。全然古びていない。ほんとに30年前の音なのか!?
まだ2作目で先駆者、開拓者としての勢いがあるのだろう。
ラップで煽ってハードなギターでぐいぐい押して、
DJが破天荒なスクラッチやサンプルをぶちかましていく。
2枚目の東京ライヴだとさらにバンド一丸となったハチャメチャさが増していて、かっこいい。
このライヴ、見たかったな。享楽的なパーティーで相当盛り上がっただろうな。
メンバー皆演奏がうまい。
ベースもドラムも様々なリズムを確実にキープして全然崩れない。
 
今回、3作目の「Persona Non Grata」の同じくライヴ音源ありの再発をヤフオクで入手。
2作目で大活躍のDJが抜けた後で方向転換があったのか、ヘヴィ・ロック路線に。
Rage Against The Machine みたいな音になっていた。
しかし、Rage ほどぶっとくなく、肝も据わってるわけでもなく。腰の座りが違う。
悪くはないが、太鼓判を押せるほどよくもなく。
2作目のダイナミックなスピード感の後だと、寸止め感あり。
もしかしたらリマスター音源ではないのかな。
とはいえ、気になるバンドなので引き続き1作目や4作目も取り寄せて聞いてみようと思う。