ブルーハーツのビデオクリップ

今月は床に山積みになっていた未聴の音楽DVDの片付け月間と名付けて、
時間のあるときにせっせとプレイヤーにセットしている。
(特に初回特典DVD、見るつもりがなくても貧乏性でついつい、あるときに買ってしまう)
昨晩、特に見たいテレビがなかったのでまた何枚か見てみた。
 
そのひとつが、ブルーハーツのシングルコレクションに付属していたデオクリップ集で。
デビューから解散まで全15曲。
冒頭の3曲、デビューの頃の
「爆弾が落っこちる時」「NO NO NO」「リンダ リンダ」がすごかった。
 
クリップでも何でもない。
真っ暗な倉庫にアンプなどの機材を集めて、4人で演奏するだけ。
照明もよくある据え置きの大きな投光器をステージ前左右に1台ずつ置いているだけ。
カメラも手持ちで1台だけ。編集不要。
撮り終わって画質や音質を調整してダビングしたらそれで公開可能。
そのカメラが寄ったり引いたり横に動くだけの映像。
 
なのに4人の、特にヒロトインパクトがすごすぎて。
ドラムがカウントした瞬間から
こいつ大丈夫か!? と心配するぐらいに飛び跳ね、身をよじり、痙攣する。
僕が医者なら止めに入る。
マーシーもギターを弾きながらピョンピョン飛び跳ねる。
簡単なコードを押さえてフレットを左右するだけ。
ただそれだけなのになんであんなかっこいいのか。
こんな洗い稚拙な演奏が心をとらえるのか。
 
全身全霊パンク。
仮ものではない、日本ならではのパンクを最初に確立したのは、
スターリンや SS といった先の世代ではなくブルーハーツなんじゃないか、とすら思った。
元々はコピーから出発しているのに、純粋に突き詰めすぎて、
ある時飽和点に達してポン! とオリジナルなものになってしまう。
先人たちが地ならししてくれたから、自分たちは初期衝動で迷わずやっていける。
先人たちがまだ手探りでやっていたところを
俺たちはこれなんや、これしかないんや、と何の迷いもなくやってのける。
ブルーハーツの魅力、
当時青森の片田舎の中学生だった僕を鷲掴みにした魅力ってそこだったんだな。
 
初期衝動というものはその後、薄れていくだけであって。
なので僕が聞くのは3作目の『TRAIN-TRAIN』まで。
メルダックからワーナーに移籍した後は全く聞かない。
「あの娘にタッチ」の、わざわざニューヨークで撮影したなんちゃってな振り付けを踊るビデオや
「旅人」の、裸の女性たちが出てきて怪しげな雰囲気になるビデオは面白いと思わない。
ブルーハーツにそんなの求めてない。
冒頭の3曲の潔さに比べたら、全てが嘘になる。照れ隠しになってしまう。
 
あー、そういう押し付けをしたらいけないのか。
……すみません、僕もまだ中二で。