猫を探す

妻と散歩に出るとき、
電柱に迷い猫の貼り紙を見かけると立ち止まって内容を確認する。
もしかしたらこの先、出会うかもしれない。
見つかってほしいと心から願う。
無事でいてくれるといいのだが。再会できるといいのだが。
この世から不幸な猫が一匹でも少なくなってほしい。
 
今朝、妻から LINE が。
通勤のため家を出たら近くの電柱に迷い猫の貼り紙があったという。
まだらの猫を探していると。
 
昼休み、妻に頼まれて図書館に本を受け取りに行く。
その帰り道、動物病院の近くを歩いていたら、猫が。
とある家の脇から、ピューッと道路を横切って向かいの家の脇へ駆け抜けていった。
こんなところで猫を見かけるのは珍しいな、と思う。
もしかして?
妻が貼り紙を見た場所に行ってみる。
特徴が書いてある。
茶色のまだら猫。尻尾は短め。左耳が切られている。
 
残念ながら尻尾と耳については確かな記憶はない。
でも、貼り紙の写真を見る限り毛の色と模様はよく似ている。
もしかしたら全然違う野良猫かもしれない。
その前提で、貼り紙に書かれていた番号にすぐ電話してみる。
動物病院の近くのこういう場所で、似ている猫を見かけたのですが……
 
猫は怪我もしてなくて元気そうだったと伝えたが、
飼い主の方はその動物病院の場所を知らないと。
どこなのかはわからないが遠くに住んでいるのだろう。
猫はそんな遠くに行くものではないから、
やはり別な猫だったのかもしれない。
飼い主の方の声は暗く、不安そうだった。
それでもその近くを探してみますということになった。
 
見つかってほしい。
僕が見かけたのが別な猫だったとしても、
その猫が不幸なことにはならないでほしい。
 
家に帰ってきて、みみたを探す。
気持ちよさそうにひなたぼっこをしていた。
僕を見て、くわーっとあくびをする。
元気でよかった。
おまえは絶対、外に出るなよと言ってみた。