予定のない日。
このところ僕がカツ丼カツ丼言っていたので
昼は大岡山のとんかつ屋「あたりや」に行くか、となる。
前は11月、半年振りか。
大岡山駅をカーナビの目的地にセットしたので、
駅前の狭くて賑わいのある商店街をそろそろと進むことになった。
「あたりや」近くのコインパーキングに停める。
先客のカウンターに座っていた若い男性は東工大の学生か。
年配の夫婦はこの辺りに住んでいてふらっと昼を、という感じではなく、
もしかしたら東工大のOBなのかもしれなかった。
僕はカツ丼を。妻はオムレツライスを。追加で酢豚。
どれもおいしかったけど、酢豚は程よい甘さでよかったなあ。
路地裏にひっそりと佇む、町の名店。
朝のうちは曇っていたのが、食べ終わる頃には快晴。
雲一つなくて蒸し暑いぐらいに。
高級住宅街の間を縫って洗足池公園を散歩。
中に入ると木陰も多く、ひんやりと涼しい。
広々とした池を前にしているというのもあるからか。
あちこちに浮かんだスワンボートがのんびりと行き交っていた。
池上線の洗足池駅の方まで出て反対側をぐるっと回る。
勝海舟記念館があるというので入ってみた。
大田区立となっていて、とてもきれいだった。お金かかるだろうなあ……
このご時世ということもあって掃除のおっちゃんが
熱心にあちこちを拭いていた。
勝海舟の生涯を辿る展示。
勝海舟は人がよく、晩年は金に困っている人が訪れると
さらさらと書を書いて、これをお金に換えなさいと渡していたという。
だから勝海舟の書は本物がたくさん出回っていて
他の幕末の志士と比べると価値が低い、
というような話をなんでも鑑定団で聞いたことがあったようなないような。
咸臨丸の展示に力を入れていた。
恥ずかしながらいろんなことがうろ覚えで。
太平洋を渡って目的地はサンフランシスコ。
通訳としてジョン万次郎も乗ってたんですね。
勝海舟が実質的な船長として乗り込んだものの
航海実現に向けての準備に忙殺されてダウン。ほぼ寝たきり。
それでなくても荒天続きで
海上の経験に乏しい日本人乗組員はほぼ使い物にならず。
アメリカ人将校に実権を譲ることになる。
勝海舟としてはこの時のことは何も語りたくないと。
福沢諭吉は何を思っただろう。書き残しているのだろうか。
このときの航海で役に立った日本人は三人だけ、
その一人はジョン万次郎だった。
なんだ、一番偉いのは現場叩き上げの
ジョン万次郎じゃないかと妻と言い合う。
洗足池公園を出て、通りがかった酒屋でチリのワインを安く売っていたのを買う。
それを車に積んだ後で駅前の商店街へ。
前から気になっていたCD屋に入る。
年配の夫婦が営んでいる小さな店。壁の半分は演歌のテープというような。
J-POPが一番多いかな。K-POPの類はわずか。洋楽が案外あった。
でもずっと店頭に並んでいたのは帯が色あせていて。
真っ白くなっていたのも結構あった。
誰が買うんだろうか……
こういうところだと帯はおまけであって、捨てるものなんだろうな。
初回限定盤2枚組がごろごろ転がっている。
掘り出し物がありそう。帯が色あせていると買うのがためらわれるが……
ないかなと探してみるが、見つからず。よーく探したらあったのかも。
こういう町の小さな店を大切にしようと妻と一枚ずつ買うことにする。
妻は Jamie Cullum 『The Pursuit』を。
僕は3月に出たばかりの Sam Smtith 『Love Goes (Live at Abbey Road Studio)』を。
また来た時にもっと掘ってみるかな。
その近くの肉屋、「松坂屋」でまた総菜をたくさん買い込んでしまった……
ポークロースト、コロッケ、串揚げ、焼き鳥の手羽先や軟骨。
夜はこれで酒を飲もうと思う。
商店街を歩いているうちに気になるパン屋があって妻がいくつか買った。
「itokito」という名前だったか。とても小さな店だけど
ポテサラのサンドイッチやソーセージを挟んだの、酒のつまみにも良さそうなのが多かった。
いつのまにか雲行きも怪しくなって車に乗って帰ってくる。
環七も混まずに済んだ。
大岡山はいい町だな、住みたいな、という話になった。